[第1回]痛くないお産の仕組みを徹底解明!麻酔や産むときの感覚は?
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ニッポン女子たるもの、お産はおなかを痛めてこそ!?いえいえ、最近は無痛分娩を選ぶ人も増えています。本当に痛くないの?どこにどんな麻酔を打つの?産んだ気がしないんじゃない?などなど、産科専門の麻酔科医、大原玲子先生を直撃!詳しい解説を3週に渡って紹介します。ママニティ読者の体験談も必見!(第2回は9/7、第3回は9/14更新)
Q1.世界で最初に無痛分娩した人は?
「イギリスのヴィクトリア女王が最初と言われているんです」と、大原先生。
女王は、1837年18才で即位し四男五女をもうけています。1853年に四男のレオポルド王子を出産するときに、痛みに耐える事をやめ、麻酔科医ジョン・スノウによるクロロホルムを用いた全身麻酔で出産しました。
当時はキリスト教の影響もあり、無痛分娩は社会的に認められていませんでしたが、女王の出産を機に英国国教会が正式に認め、その後英国では急速に無痛分娩が広まっていったのだそうです。
「写真は、私がイギリスのサイエンスミュージアムに行ったときに撮影したもの。19世紀の中流階級の出産風景が模型で展示されていたんです。妊婦が麻酔のガスを吸っていますね」
Q2.そもそもどうしてお産は痛いの?
「陣痛で子宮が収縮し、赤ちゃんが出てくると、膣や骨盤、外陰部などがグッと押し広げられます。こうしてお腹が、伸びたり縮んだり、広げられたり引き伸ばされたりするのが痛みの原因です」と、大原先生。
“まるで鼻からスイカを出すよう”“子宮から火だるまのボウリング玉を出す感じ”などという人もいれば、“ちょっとひどい生理痛程度”という人もいて、痛みの感じ方は人それぞれ。初めて赤ちゃんを産む人にとっては、出産の痛みはなかなか想像できないものです。
「私も、自分がお産を体験してはじめて、こんなにも痛いものだったのか、と知りました。その後、アメリカに行って無痛分娩を見て、あまりに楽に出産できることにびっくり!産科専門の麻酔科医になったきっかけです」
Q3.「無痛分娩」はどうして痛くないの?
「痛みを感じる神経を、麻酔でブロックしてしまうからです」(大原先生)
子宮や、膣、骨盤などで受けた痛みの刺激は、背骨の中にある脊髄(せきずい)を通って脳に伝達され、痛みとして認識されます。
その痛みの伝達を、麻酔薬によって遮断してしまうのです。
Q4.どこにどんな麻酔を打つの?
「背中の腰のあたりから、背骨と背骨の間に針を刺して、そこから背骨の中に細くてやわらかいカテーテル(チューブ)を入れて、そこから麻酔薬を注入します。“硬膜外腔(こうまくがいくう)”という場所です」(大原先生)
硬膜外腔は、背骨の中の脊髄神経を包む膜の外側にある5〜7mmの狭い空間です。
針を刺す部分にも、あらかじめ皮膚に痛み止めを打っておくので、処置をしているときに痛みを感じることもないそうです。
「カテーテルは出産の前の日に入れて、出産が終わるまで入れたままにしておきます。麻酔薬を投与すると15分くらいでじわじわと、下半身の感覚が鈍くなって効いてきます。投与をやめると2〜3時間で感覚が戻ってきます」
Q5.麻酔が効かないこともある?
「正しい位置に麻酔が入っていないと、効きにくかったり、効かない、ということもあると思います」(大原先生)
ひと口に無痛といっても、麻酔薬の濃度や投与量、麻酔を開始する時期や薬液を追加するタイミングなど、産院によってさまざま。それによって無痛の度合いも異なります。痛みの感じ方にも個人差があります。
「人によっては、麻酔効果が十分ではなかった、と感じることもあるでしょう」
Q6.無痛だと産んだ気がしないんじゃない?
「お母さんの意識ははっきりしているし、赤ちゃんが産道を下りてくる感覚もちゃんと味わえます。痛くない以外は、普通の分娩と同じだと思います」(大原先生)
無痛分娩は、下半身の“痛み”だけをブロックする局所麻酔。陣痛中はおなかがギューットと締め付けられるような感覚や、赤ちゃんが産道をグッーと移動していく感覚もあり、分娩時にいきむ事も可能。ただし、施設や使用する薬剤によって効果も異なります。
「痛みがない分、赤ちゃんが下りてくる感覚をリアルに感じられた、という人もいます」
Q7.「和痛分娩」との違いは?
「無痛分娩と和痛分娩、実はその違いは、ちゃんと定義されていないんです」(大原先生)
一般的には、陣痛から出産までの間、ずっと麻酔薬を投与して痛みを取り除こうとするのが「無痛」。それに対し、いきみやすくするため、麻酔薬を途中で止めたり、減量してしまうなど、“多少痛みを感じることもある”分娩が「和痛」と呼ばれています。
しかし、ラマーズ法やソフロロジー法などの呼吸法や、リラクゼーション効果のある分娩環境全体を指して「和痛分娩」といっているところもあります。
ママニティママの無痛分娩体験談・私が無痛を選んだワケ
今回アンケートに答えてくれたのは23人。約半数の12人が第1子は普通分娩で、お産の辛さを実感!第2子、第3子で無痛を選択しています。「出産に自信がなかった」「持病があった」などの理由から初産から無痛を選んだ人も11人。「病院の判断で急きょ無痛になった」とう人もいました。
■初めての子は普通分娩でした。いきみ方が判らず力を入れすぎたか、会陰切開したにも関わらず肛門まで裂けてしまい、分娩直後の縫合に一時間かかり陣痛より分娩よりも痛くて辛かったです。産後も裂傷が痛み座ることも困難でした。なので二人目からは無痛(和痛)分娩で無理なく分娩出来る方法を選びました。(チルチル)
■1人目が普通分娩でしたが難産で、2人目を産むなら無痛分娩にしようと思ったから」(もこもこ)
■上二人が普通分娩で、陣痛の苦しみ、辛さは十分わかったので、最後くらい出産の幸せを噛み締めたいなぁ〜と思いました。(きょう)
■自分の実家も旦那の実家も遠く、上の子も保育園、旦那も帰りがいつも遅く、自分も働いていたので、計画的に出産したかった。また、産後の体力のことも考え無痛にしました。(まーや)
■出産後の体力を温存しておきたかったため。(あめちゃん)
■無痛分娩を希望していた訳ではなかったがお産が進まず病院の判断で無痛分娩に切り替わった。(ちまた)
■出産時、私がパニック状態になった為か先生の方から言われて、無痛分娩に切り替えられました。(あいこ)
公開日:2014/08/31