インタビュー

6年間の不妊治療を経て「里親」となった漫画家:古泉智浩さんロングインタビュー

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「これまでずっと何年も真っ暗な夜道を裸足で歩いているような気持ちだったー」

そう語るのは、6年間にも及ぶ不妊治療で600万円を費やしたのち、「里親」という選択をした漫画家・古泉智浩さん。

里親制度とは子どもの家庭復帰を目指して代替的に家庭で里子を養育する制度のこと。

昨年12月に出版された「うちの子になりなよ」は、男性目線での妊活、里親としての子育てやその制度についてが赤裸々に綴られた「漫画・育児エッセイ」として話題の一冊です。

今回は著者でもあるご本人に直接お会いして、率直なお話をお聞きしてきました。

6年間も続けた不妊治療について


不妊治療をスタートしたのは僕が40歳のときでした。原因不明の不妊だったのでそれは泥沼でした。

原因があればそれを治療すればいいんですけれども、わからないともなるととにかく体外受精を繰り返さなければならないんです。

体外受精の中でも顕微授精を何度も繰り返したのでお金をたくさん使いました。
妻も治療がうまくいかなくては落ち込んでメソメソしていましたが、うちに子どもがきてからは天地がひっくり返ったかのように毎日が明るくなりました。

なぜ里親に?そのきっかけや経緯とは。


一番のきっかけとなったのは里親について取り上げたテレビのドキュメンタリー番組を妻と一緒にみていたことですね。

あと僕はすごく映画が好きなので、「八日目の蝉」という日本映画や、「おまえうまそうだな」という子ども向けアニメを不妊治療中に見ていました。

この二本を最近見直したのですが、里親目線で共感できる部分がたくさんあるとんでもない里親映画だったんですよ。(笑)

里親・養親を考えている方にはぜひとも見て頂きたいオススメの一本です。出てくるセリフがいちいちぐっとくるので。

赤ちゃんを迎えるにあたり不安に思ったことは?


僕がさんざんみてきたテレビのドキュメンタリーの中では、自分の実親ではないという事実に対して、子どもが反発してくる「親試し」をよくしていました。

「うちに来てくれる子はきっと2〜3歳ぐらいかな」と漠然と思っていたので、もし親試しをされたらもしどうやって対応しようかなと考えていたんです。

でも実際委託されたのは小さい赤ちゃんだったので、その不安は今のところないかな、という感じです。

里親になると決めたとき、周囲の反応は?


最初はやっぱり抵抗があったみたいで家族には苦い顔をされました。
でも実際に赤ちゃんを家に迎えた途端、そのかわいさにメロメロになっていましたね。

当初「里親」に乗り気でなかった奥さん。どのような気持ちの変化が?


一番大きいのは施設研修(里親研修の一つ)ですね。
養護施設では親元から離れて暮らしている子どもたちと一緒に過ごす研修があるんですけど、これが本当に楽しくって。
僕たちはこの子達が大好きになってしまいました。
妻の気持ちが変わったのはこの施設研修を受けた事が大きかったと思います。
もし自分たちに実子がいたとしても里親をやりたいと思う位でしたから。
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公開日:2016/06/01