不妊カウンセラーのはなし

[第3回]「どうして私だけ...」不妊治療がうまくいかない時は

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治療がうまくいかないときは

大きな期待をかけて治療して、祈るような気持ちで待っていた結果が陰性のマイナス。
その受け止め方や悲しみの深さには個人差がありますが、いずれにしても、期待していた生命を失ったという喪失感は大きなフラストレーションです

不妊治療では、このプロセスが繰り返されます。この“喪失”という体験の反復は本当に苦しく辛いものです。
しかし、悲しんではいられない、休んではいられないと、無理をして前向きに頑張ろうとします。

周囲からも、「大丈夫、次はきっとうまく行くよ。頑張って」と励まされます。
あなたが生真面目で、しっかりした人であればあるほど、人に心配かけられない、と自分の気持ちを押さえ込んでしまっているのではないでしょうか。

これでは、自分の気持ちに正直に向き合うことが出来ません。
悲しみや怒り、落ち込み、愚痴等を我慢しないで出せる場はありますか?

いっぱい泣くことも、心の回復にはとても大切なことです。
人を気遣う気持ちも大切ですが、自分の本当の気持ちも大切にしてください。

早く忘れて、元気になろうと思わなくてもいいのです。
少し立ち止まって、悲しみや傷つきを受け入れて、自分をいたわることも大事です。


辛いことですが、その過程をしっかり経ることにより、少しずつ元気を取り戻して行くものなのです。

どうしても、言える人がいない、発散する場がない・・・
というときに役立つのがカウンセリング

カウンセラーはあなたのそのままの気持ちを受け止め、寄り添います。素の自分になって、ひと息ついてみてください。

自分の中の偏見

不妊治療をしている多くの人が、「どうして私だけが・・・と考えてしまう」といいます。
不妊という体験は、これまでにない大きな挫折なのかも知れません。

それは、想定していなかったとてもショックなことでしょう。でも、気づいて欲しいことがあります。

あなたを苦しめている原因は、周囲のせいではなく、実は自分の中にある「みんなと同じじゃなければいけない」という思い込みや、「自分がこんなことでつまずくなんて・・・」というプライドによって、自分を傷つけ、追い込んでいるのではないでしょうか。

それが、あなたの中にある『偏見』というものです。

人生には努力しても思うようにいかないこと、計画通りにならないことが多々あるものです。

そういう現実を受け止めながら、子どもが授からないことを、不幸とばかり思うのではなく、愛するパートナーがいて、家族がいて、仕事もあって・・・という、幸せに気づき、そのことを大切にできるようにして欲しいと思います。

カウンセリングは、自分の中のネガティブな考え方を、客観的に見て、ポジティブな考え方に変えていくサポートをすることもあります。コップ半分のジュースを、「もう半分しかない」と思うか、「まだ半分ある」と思えるかでは、その人の思考や人生観が変わってきます。

公開日:2015/01/09