妊娠中にしていいこと悪いこと

妊娠中の生肉・魚・コーヒー・アルコール...全部ダメなの!?

50733 views
「妊娠中は○○しないほうがいい」
「妊娠したら○○するようにしましょう」・・・

いろいろ聞くけれど、ホントのところはどーなの?
食べ物、運動、仕事、美容やレジャーまで、妊婦生活のギモンを産婦人科医が解決!


避けたほうがいい食べ物ってあるの?

YES。生肉や一部の魚介類などで、妊娠中は避けたほうがいいもの、量を控えたほうがいい食品があり、厚生労働省のホームページで摂取の目安が紹介されています。

生肉はトキソプラズマに感染する恐れがあるので避けましょう。
トキソプラズマは動物に寄生する原虫で、生肉のほか、猫などのペットと接触したり、ペットのフンに触れたりすることで、感染することがあります。

すでに抗体を持っている人もいますが、妊婦が初感染した場合は、流産や早産、胎児に脳障害など引き起こすことがあります。
焼き肉店などの生肉だけでなく、火の通りが悪いお肉も同様に注意が必要です。

調理のときは充分に過熱し、生肉に触った後はよく手を洗いましょう。

また、妊娠中は免疫力が下がるため、リステリア菌に感染しやすくなります。
リステリア菌は早産などのリスクにつながる危険性もある怖い食中毒菌。

塩を好むので、生ハム、スモークサーモン、ナチュラルチーズなど、塩分を多く含み、加熱処理していない食品は注意してください。これらは厚労省から「なるべく避けましょう」という注意がうながされています。

キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、イルカ、クジラなど、食物連鎖の上位にある魚は水銀の含有量が多く、多量に食べ続けると胎児の神経発達に影響を及ぼすおそれがあるとされ、厚労省が摂取量を定めています。

例えば、キンメダイ、メカジキ、クロマグロの摂取は、1週間に1切れ(80g)までです。

とはいえ「怖いから魚はまったく食べない!」というのは、かえって栄養がとれなくなるのでおすすめできません。
魚は良質なタンパク質の補給にいいですし、DHAなど胎児の成長にかかせない栄養素も含まれています。

ぜひ適正量を守って食べましょう。
マグロでも、キハダ、ビンナガ、メジ、ツナ缶などは対象外ですし、サバやアジ、イワシなどの小魚は水銀の含有量も少ないので、いろいろな種類の魚をバランスよく摂取するといいですね。

カフェインやアルコールは絶対NG?

コーヒーは1日1〜2杯程度までならOK。
アルコール、タバコはNGです。


海外のデータでは、妊婦のカフェイン摂取はコーヒーなどで1日1〜2杯までといわれています。
1日10杯など大量に摂取するのはNG。

興奮作用があるカフェインは、妊娠中に過剰摂取すると、胎盤を通して胎児にも伝わり、生まれた子どもに落ち着きがないなどの症状があらわれることも。
子どもの多動性障害と関連が深いとするデータもあります。

アルコールは絶対に禁止です。
特にアルコール中毒になるような量を摂取すると、胎児にも明らかにアルコール症候群が出て発育や発達に影響を与えます。
タバコも同様に発達に影響がでるため禁止ですね。

食品添加物や放射性物質は胎児にどう影響する?

食べ物を通してお母さんが摂取した食品添加物や放射性物質は、基本的にはすべて代謝されてしまうので心配ありません。

食品添加物は、日本で製造または認可されているものは問題ありません。
過剰に心配しすぎるとかえって栄養が偏ってしまってよくないですし、放射性物質についても市中に流通している食品なら心配ないでしょう。

これらの物質は、お母さんの体の中に蓄積して濃縮され、お腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼすのでは?
と心配する人もいますが、基本的には成長の段階で代謝され、排出されてしまいます。

とはいえ、妊娠中は市販のお弁当や加工食品よりも、できるだけ自分で手作りした食事をとるよう心がけて。
そのほうが栄養のバランス面でも安心です。

公開日:2015/01/10