インフルエンザQ&A

みんなから寄せられた質問&相談11問に、宮野先生がお答え!

Q1.卵アレルギーでも接種できる?
Q2.接種後に発熱したら?
Q3.掃除洗濯はどうすればいい?
Q4.部屋の乾燥を防ぐには?
Q5.抗インフルエンザ薬の使い分けは?
Q6.タミフルの副作用が心配
Q7.病院の再受診は必要?
Q8.1歳以下の赤ちゃんの治療は?
Q9.けいれん持ちの子の注意点は?
Q10.感染中の食事や入浴は?
Q11.登園、登校はいつからOK?

Q1.卵アレルギーでも接種できる?

Q.ワクチンには卵が使われていると聞きました。卵や鶏肉にアレルギーがある子でも予防接種は受けられますか?

A.インフルエンザワクチンは製造過程で鶏卵を使っています。

ただ、ワクチンに残る鶏卵の成分はごく微量なので、卵を含む加工品を食べられるようなら、接種してもほぼ問題ありません。

卵アレルギーのある子どもには、事前に皮膚テストを行ってアレルギー反応の有無を確かめた上で、接種の可否を判断します。

これまでに卵や卵の加工品を食べて、ひどいじんましんや呼吸困難などのショック状態を起こしたことがある人は、医師に相談してください。

Q2.接種後に発熱したら?

Q.予防接種後に発熱しました。病院に行ったほうがいいですか?

A.ワクチンの接種後は、副反応として熱が出ることがあります。

通常は2~3日でおさまるものなので、家庭で様子をみていいでしょう。

ただし、38度以上の高熱でぐったりして、機嫌が悪い、いつもと様子がちがう、といった症状が見られる場合には、予防接種を受けた病院へすぐに受診してください。

Q3.掃除洗濯はどうすればいい?

Q.家族が発症したら、洗濯はわけたほうがいいでしょうか?また、掃除するときに気をつけることはありますか?

A.インフルエンザウイルスは、洗剤や石鹸、アルコール消毒で感染力がなくなります。家族に感染者がいても、洗濯物は分ける必要はなく、いつもどおりで大丈夫です。

インフルエンザウイルスは咳やくしゃみで空気中にちらばり、部屋のあちこちに残ります。家庭内はもちろんですが、職場や公共機関に感染者がいた場合も、オフィス家具や手すり等にウイルスがつき、それを家に持ち込んでしまうことも考えられます。

感染力は8時間~12時間なので、手で触れやすいドアノブや階段の手すり、パソコンのキーボード、椅子やテーブル、各種リモコンや、携帯電話などの拭き掃除をこまめにしましょう。

Q4.部屋の乾燥を防ぐには?

Q.予防には適度な湿度を保つこと大切と聞きました。加湿器以外でもお部屋の湿度を上げる方法はありますか?

A.自宅に加湿器がない場合には、家にあるもので乾燥を防ぎましょう。

たとえば洗濯物や濡れタオルを室内に干すだけでも、十分効果があります。

スプレーボトルに水を入れて、定期的にシュッシュッとお部屋の空間に吹きかけたり、沸騰したお湯を鍋に入れて、蓋をあけておいもいいでしょう。ただし、子どもがいる家庭ではくれぐれも火傷には気をつけてください。

Q5.抗インフルエンザ薬の使い分けは?

Q.タミフルやリレンザなど抗インフルエンザ薬はいくつかあると聞きましたが、どう使い分けされてるのでしょうか?

A.タミフルもリレンザも効能は同じですが、タミフルは血液を介して全身に作用し、リレンザは気管支や肺などの局所を中心に作用します。

タミフルは飲み薬なので、どの年代でも比較的服用しやすい薬ですが、リレンザは吸入薬なので、赤ちゃんや小さな幼い子どもには処方が難しいとされています。

また、新しい抗インフルエンザ薬として、2009年1月には「ラピアクタ」が、2010年10月には「イナビル」が発売されました。タミフルは1日2回、5日間服用しなければならないところ、ラピアクタは1回の点滴で、イナビルは1~2回の吸引だけで効果があるとされています。

どの薬を使うかは、患者の年齢や体質、過去の薬歴等を考慮して医師が判断しますが、もし希望があればその旨を医師に伝えてみましょう。

Q6.タミフルの副作用が心配

Q.タミフルの副作用が心配です。大丈夫でしょうか?

A.近年の調査では、抗インフルエンザ薬の種類や処方の有無と異常行動には因果関係は見当たらないとされています。

しかし、実際に小児科の現場に立っていると、タミフル服用後に、突然暴力的になる、暴れるなどの異常行動が見られることは、あります。

また、タミフルの副作用として、まれに嘔吐や下痢の症状が出ることがあります。

そのため、未成年者が抗インフルエンザ薬を服用した後には、保護者は少なくとも2日間、子どもが1人にならないように配慮する必要があります。もし、異常行動など心配な様子が見られた場合には、かかりつけの医師に報告し、相談してください。

次回以降は、他の薬を使うなどの対処ができます。医師に副反応の様子をしっかり伝えましょう。

Q7.病院の再受診は必要?

Q.発症して病院に行き、薬を処方されました。もう病院には行かなくていいですか?

A.インフルエンザは一旦熱が下がって落ち着いたように見えても、再び悪化することがよくあります。重篤な合併症も起こしやすいので経過観察が重要です。また抗インフルエンザ薬による副反応を起こす可能性も0ではありません。

家庭で定期的に熱を測って表にしたり、症状の変化をメモして、最初の受診から3~4日後に再び来院して診察を受けたほうがいいでしょう。

Q8.1歳以下の赤ちゃんの治療は?

Q.1歳以下の赤ちゃんがいます。感染した場合、薬は処方されますか?

A.1歳以下の赤ちゃんはインフルエンザに感染しても比較的症状が軽く、重症化しにくいのです。

そのため一般的には、解熱剤や咳止めなど、対処療法だけの治療になることが多いでしょう。タミフルなどの抗インフルエンザ薬を使うこともありますが、医師の判断によって方針は分かれます。

ミルクや母乳の飲みが悪いなど、脱水症状の危険がある場合には、点滴等で水分補給することもあります。

Q9.けいれん持ちの子の注意点は?

Q.うちの子は、発熱すると熱性けいれんを起こします。インフルエンザについて何か注意することはありますか?

A.けいれんを持っている子どもには、医師から「ダイアップ座薬」が処方されていると思います。通常、37.5度前後の発熱が見られた時点で座薬を挿入するよう、指導されていると思います。

インフルエンザの流行期にも、ふだんと同様に、発熱したらダイアップ座薬を使用してください。

ただし、ダイアップは熱性けいれんだけでなく、脳炎や脳症などの合併症によるけいれん反応も抑制してしまう可能性もあるので、注意深く子どもの様子を見守る必要があります。

38度以上の高熱が出たらインフルエンザの可能性があるので、かかりつけの小児科を早めに受診しましょう。その際には、ダイアップ座薬をすでに挿入したことを医師に必ず伝えてください。

Q10.感染中の食事や入浴は?

Q.インフルエンザに感染したときの食事や入浴で注意することはありますか?

A.食欲が低下しているときは、さっぱりしたフルーツやスープ、おかゆなど食べやすい食事にしましょう。消化のいいものがおすすめです。

高熱が続くと脱水症状を起こしやすいので、食事ができなくても水分はしっかり摂るように気をつけます。赤ちゃんなら、母乳やミルク、乳幼児用イオン水を飲ませてください。

症状が落ち着いて、熱が下がっていれば入浴も可能です。「長湯をしない」「身体を冷やさない」「タオルを使いまわさない」という3点に注意してください。入浴後は水分補給を忘れずに。

Q11.登園、登校はいつからOK?

Q.感染後、いつから保育園や幼稚園に登園できますか?

A.タミフルやリレンザなどの抗インフルエンザ薬を使って熱を下げても、まだ感染力が残っている時期に登園すると、周りの子どもに感染が拡大してしまいまいます。

2012年に基準が統一され、発熱した日から5日を経過し、かつ、熱が下がった翌日から数え始めて3日を過ぎれば、登園することができます。

(2012年11月から掲載、2013年11月改訂)