【卒乳・断乳】おっぱいのやめどき、どう考える?タイミングは?

おっぱいはいつまで続けるべき?いつやめるべき?

「おっぱいはいつまで続けるべき?いつやめるべき?」と、多くのママが悩み、私たちもよく相談を受けるのですが、この質問の答えには「正解」がありません。卒乳の時期は、医学の見解や、文化的な背景、さらに、それぞれの家庭の環境や、親子の関係性によって、本当にさまざま。親子の数だけ、答えがあっていいんです。

ひと昔前まで、日本では「おっぱいの栄養がなくなるので、1歳にはやめるべき」という考えが主流でした。母子手帳には、「満1歳になる頃が断乳の一応の目安」と記載されていました。

でも、多くの研究により、この考えは間違っていることがわかりました。1歳や2歳になった子どものママのおっぱいにも免疫物質が含まれています。生後16~30ヵ月(1歳4ヵ月~2歳半)におっぱいを飲んでいる子どもは、飲まない子どもと比べると、病気にかかる回数や種類が少ないことなども報告されています。おっぱいは栄養として重要なだけでなく、子どもにとって精神的な安定剤の役割も果たしています。けっして焦って早くやめる必要はないのです。

1990年、WHO(世界保健機構)とユニセフが発表した母乳育児推進の提言『イノチェンティ宣言』では、 「世界規模の目標として、全ての女性が生後4~6ヵ月まで完全に母乳だけで育てられるように、その後は適切で十分な補完食(離乳食)を与えながら、子どもが2歳かそれ以上になるまで、母乳で育てられるようにしよう」と宣言しています。

アメリカ小児科学会も、「母乳育児は少なくとも生後1年間、それ以後は母子が互いに望む限り長く続けましょう」「母乳育児の継続期間には上限はありませんし、生後3年目にまたがったり、それ以上になったりすることが、心理学的にも、発達においても有害であるという科学的根拠はありません」(『母乳と母乳育児に関する方針宣言2005年改訂版』)としています。

このような世界的な流れの後押しもあって、私たち助産師はママに、「赤ちゃんがハイハイをして、つかまかり立ちをし、二本足でしっかり歩けるようになるまで、おっぱいを続けられそうだったら続けてくださいね」とお話をしています。ママも子どもも望んでいて、環境も許すなら、ぜひ、やめずにあげ続けましょう。

とはいえ、ママの病気などさまざまな事情で早くおっぱいをやめなければいけない場合もあるでしょう。

親子の精神的なつながりは、「授乳」だけではありません。育児全体を考えたとき、「授乳」というのはほんの一部。からだをふれあい抱きしめることや、歌をうたったり、絵本をよんだり、指遊びをするなど一緒にあそんだり、親子で心を通わすことはとても大切なことです。

タイミングの見計らい方

おっぱい卒業時期は、親子によってさまざまな答えがあっていい――けれども、何か目安があると判断しやすいかもしれません。

いちばんのポイントは、子どもの心と体の成長、そしてママの体調の様子を見ながら、親子にとって最適なタイミングを決めること。

たとえば、子どもの心・精神面の発達としては、「お母さんと離れて遊べるか」「一人遊びができるか」が目安になります。お母さんの傍から片時も離れられない状態のときは、まだおっぱい卒業は難しいかもしれません。

子どもの風邪を予防するためには、母乳育児は有効です。インフルエンザや風邪が流行する真冬や、脱水症状を起こしやすい真夏は、子どもが体調を崩しやすい時期なので避けたほうが無難。たとえ前々から卒業の時期を決めていたとしても、子どもの体調が優れないときは延期したほうがいいでしょう。

また、引っ越しや入園など、親子の環境が大きく変化するときも、できるだけ避けたほうが無難。ママも子どもも気持ちが不安定になりやすいときに、断乳の精神的・物理的ストレスが重なってしまうからです。

「授乳期間中に乳腺炎を繰り返していた」、「母乳の分泌がとてもよい」など、おっぱいの状態に何か不安のある方は、卒業時期について助産師に相談するといいですね。

(2011年1月から掲載)

「卒乳&断乳のはなし」の記事一覧

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  2. 卒乳・断乳Q&A

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