お産直後に赤ちゃんを抱っこ

次のポイントは、出産直後の環境です。

日赤では、生まれたばかりの赤ちゃんを産湯に入れず、 体重も測らず、血液がついていたら体を拭く程度で、すぐにお母さんの裸の胸で抱っこさせます。「カンガルーケア」とか「スキン・ツー・スキン・コンタクト」「早期母子接触」と呼んでいます。

こうすると、赤ちゃんが自然にお母さんの乳首を探り当てて、口にくわえ始めます。その刺激がおっぱいの分泌を促すのです。

産後直後から2日目頃までに分泌される、ごく少量のドロッとしたおっぱいは「初乳」といって、免疫物質がたっぷり含まれています。ぜひ、飲ませてあげましょう。

日赤では、抱っこしたり授乳したりする時間は30分から1時間ほど。赤ちゃんの呼吸状態をモニタリングしながら、行っています。「パルスオキシメーター(pulse oximeter)」といって、小さなプローブを指先などに付けて、脈拍数と経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)を測定しています。

当院では5人に1人が帝王切開ですが、帝王切開の場合でもお母さんと赤ちゃんの状態がよければすぐにスキン・ツー・スキン・コンタクトをします。できるだけ自然に近い形で、気持ちよく育児ができるように配慮しています。

病院によって、少しだけ赤ちゃんを抱っこさせてから赤ちゃんの計測をするところ、かなり長い時間抱っこさせたあとゆっくり計測する病院など、やり方はそれぞれちがいますが、スキン・ツー・スキン・コンタクトをする病院はけっこう増えています。

とはいえ、母子の体調や、病院の方針によっては、スキン・ツー・スキン・コンタクトができない場合もあります。だからといって、母乳育児ができなくなるわけではないので、安心してくださいね!

(2010年8月から掲載、2014年4月改訂)