ミルクを足すときは…
さて、赤ちゃんを産んだら、すぐにあふれるように母乳が出るのかというと…そうではありません。産後2日目くらいまでは、赤ちゃんが一生懸命吸って、やっとジワジワと出てくる程度。ママも赤ちゃんも慣れない授乳に四苦八苦します。
その間、おっぱいはほとんど飲めないけれど、赤ちゃんは平気なの?と、不安になるかもしれませんが、大丈夫。産まれたばかりの赤ちゃんの体は、2~3日栄養をとれなくても平気なようにできているんです。
産後2~3日で、赤ちゃんの体重は生まれたときより10%ほど減少することもあります。赤ちゃんのむくみが取れてきて、体重が落ちるのです。多くは生理現象なので、心配しなくて大丈夫。
おっぱいがちゃんと出るようになって、赤ちゃんの体重が増加し始めるのは、産後4日目くらいからです。
この頃になっても、体重が誕生時よりさらに減少を続けていて、また「赤ちゃんの哺乳の力が弱い」、「低血糖」、「電解質の異常が見られる」、「ママの母乳分泌もまだ十分ではない」などの場合は、脱水予防とカロリー補給として、砂糖水を与えます。ミルクを与える場合もあります。
大切なことは、赤ちゃんとママの両方の状態から判断することです。
砂糖水やミルクを足す場合は、哺乳瓶ではなくコップやスプーンであげるようにします。 ママのおっぱいは赤ちゃんが自分のあごをしっかり動かして強く吸わなければならないので、力がいります。でも、哺乳瓶はスゥスゥと飲みやすく、赤ちゃんはとてもラクチン。
ラクに吸える哺乳瓶という道具を知ってしまうと、赤ちゃんはおっぱいを嫌がるようになることがあります。だから、なるべく母乳を吸う環境を壊さないように、スプーンやコップを使うのです。
コップといっても、ほんの小さなもので、口に流すようにして飲ませます。スプーンやコップで飲ませるのは、つきっきりで手間も時間もかかりますが、のちのちの母乳育児を考えると、このときはがんばりどき。
最近は、母乳を意識してつくられた飲みにくい哺乳瓶(ピジョン「母乳実感」「母乳相談室」など)も販売されています。
退院後、ミルクを足す量が多く、スプーンやコップだと大変だと感じるときは、「飲みにくい哺乳瓶」を使うといいでしょう。
(2010年8月から掲載、2014年4月改訂)