おっぱい児の体重増加はゆるやか

母乳育児の子はミルク育児の子よりも、体重増加がゆるやかです。母乳とミルクでは、たんぱく質の種類や量がちがうためです。

でも、母子手帳などに載っている「乳児身体発育曲線」は、母乳育児とミルク育児、両方の子どもたちの平均データが使われています。だから、発育曲線と比べると「うちの子はちゃんと体重が増えていない」と不安になってしまうことも。

母乳育児を推奨しているWHOのランダ・サーディ氏は、「これからは、母乳育児による子どもの成長発達を標準にして、ミルク育児の子どもも含めて、健康状態や成長、発達を評価するようにしなければいけない」と話しています。 今後、赤ちゃんの体重増加の評価の方法は、変わってくるかもしれませんね。

生後の1ヵ月間でみたとき、母乳が足りているかどうかの判断基準は、一日の体重増加が30g以上が目安と言われることが多いようです。でも、日赤では20g増えていればいいと、わりとおおらかに考えています。

たとえば、体重増加が少なめでも、ママの母乳育児への思いが強いなら、少し様子をみて、ミルクを足すかどうか判断することもあります。

一方、ある程度、体重増加が順調でも、お母さんの体調が悪く精神的にも限界というときは、ミルクを足したほうがいいこともあります。

ミルクを足す明確な判断基準があるとわかりやすいのに…と思うかもしれませんが、マニュアル化は難しい。 赤ちゃんの体重増加だけでなく、赤ちゃんの健康状況、そして、お母さんの体の状態や、母乳育児への意欲、生活環境などを総合的に考えて、判断する必要があります。

(2010年8月から掲載)