花粉症の症状・診断・治療について
花粉症ってどんな病気?
花粉症は、植物の花粉が原因で、くしゃみや目のかゆみなどの症状が起きるアレルギー性の病気。
春に症状が出るスギ花粉症が有名ですが、他にもヒノキ、ブタクサ、イネ、ブナ、マツなど、さまざまな植物が花粉症を引き起こします。
花粉症の原因となる主な植物
- 春…スギ、ヒノキ、ブナ、マツ、イチョウなど
- 夏…カモガヤ(イネ科の植物)など
- 秋…ブタクサ、ヨモギ、イラクサなど
花粉症の症状
くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどが主な症状ですが、のどや肌などに現れることも。
命にかかわるような症状が出ることはありませんが、一日中症状に悩まされるので、集中力が低下したり、ストレスがたまったり…とやっかいな病気です。
また、鼻がつまると口で呼吸するようになり、風邪をひきやすくなります。
各部位の症状
- 鼻:くしゃみ、鼻水、鼻づまり
- 目:かゆみ、充血、涙目
- のど:せき、かゆみ
- 肌:皮膚のかゆみ、かさつき
- その他:下痢、だるい、頭がぼんやりする、くしゃみのしすぎによる腰痛
花粉症が起きるしくみ
人間の体は、毒物や病原体から身を守るために、異物が体に入るのを防いだり、排除しようとする「免疫」という仕組みが備わっています。
でも、本来は体に有毒ではない物質に対しても、この免疫システムが反応してしまうことがあるのです。
これを「アレルギー」と呼びます。花粉症もアレルギーの一種です。
花粉が体に入ってくると、リンパ球が「IgE抗体」というものをつくります。
一度、体内でこの抗体が作られると、次に花粉が入ってきたときにこの抗体が作用して、「ヒスタミン」などの化学物質が分泌されます。
これらの化学物質が人間の神経を刺激して、体内に入ってきた花粉をくしゃみや鼻水で排出しようとするのです。
花粉が体内に入ったときにIgE抗体が作られるかどうかは、その人の体質によります。
抗体が作られてしまう人だけが、花粉症を発症します。
花粉症が増えているのはなぜ?
今でこそ、花粉症は春の風物詩のようになっているけれど、昔はほとんど見られなかった病気。
それがなぜ、近年患者が急増しているのか…実はまだ、はっきりとはわかっていません。
第二次大戦後、日本各地にたくさん植林されたスギが大量に花粉を飛ばすようになったことも一因と考えられています。
また、他のアレルギーと同様に、大気汚染や車の排気ガス、生活スタイルや食生活の変化なども関係しているのではないかと考えられています。
花粉症の診断
花粉症の診断には、アレルギーの原因となるアレルゲンを見つける検査を行います。
でも、3~5月頃にアレルギー症状が出る場合は、検査はせずに花粉症と判断されることもあるようです。
皮膚反応検査
皮膚にスギ、ヨモギ、ダニなど原因と考えられるアレルゲンのエキスで皮膚を刺激して、皮膚が赤く大きく腫れるかどうか診断します。
血液検査
血液検査で原因となるアレルゲンに対する抗体を見つけます。
鼻粘膜検査
アレルゲンを鼻の粘膜につけて、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりの反応がでるかどうかで診断します。
花粉症の治療
今のところ、花粉症を根本的に治す方法はまだ見つかっていません。
花粉症にかかった場合は、症状をおさめるための対症療法が中心です。
一般的な治療法(メディアカルケア)としては、抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤を使用した、目薬、点鼻薬、内服薬などを使うことが多いでしょう。
これらは対処療法なので、一時的に症状は治まりますが、薬をやめるとすぐに症状がぶり返すことがほとんどです。
アレルギー症状を起こす原因になる物質(スギ花粉など)のエキスを長い時間をかけて少しずつ注射し、アレルゲンに体を慣れさせていく「減感作療法」などもあります。
また、漢方薬や鍼灸治療によって症状を軽減したり、体質を改善して治療することもあります。
ただ、どれくらいの効果があるかは、人によって異なります。
(2007年4月から掲載)