がんばる人ほど悪化する
うつ病は、その人の性格や養育歴などが関係している面もあるといわれます。出産後の「産後うつ」も同じです。
たとえてお話ししましょう。
自分が子どもの頃、「親からあまり可愛がられなかった」と思って育った女性がいるとします。または、「男の子だったらよかったのに」「生まれて来なければよかったのに」などと言われて育った。または、虐待を受けて育った……。
こうした女性が妊娠すると、お腹が大きくになるにつれて、「自分はこの子をうんと可愛がって育てていこう」「男女差別はやめよう」「虐待せずに育ていこう」と考えるようになります。そして、「絶対にいいお母さんになる!」と決意する人も多いのです。
しかし、子どもをみているとなぜかイライラして、可愛いと思えない。がんばればがんばるほど、思い通りにいかず、自分の気持ちや理想とのギャップに、ますますつらくなっていきます。
無理がたたってママ自身の体調も悪くなったり、子どもに八つ当たりをしたり…。我にかえって自分を責める。反省してまたがんばり続ける――。この繰り返し。
うつ病になる人は、助けを求めずがんばってしまうという特徴があります。だから、どんどん心身が疲労して、負のスパイラルに陥るんです。
このお母さんがなぜ、こんなにうまくいかないのか。自分の気持ちや努力とは裏腹に、イライラして子どもを可愛く思えないのか。次回は、そのメカニズムをお話しします。
(2011年11月から掲載)