ホルモンの指揮者は視床下部

女性の体に、定期的におとずれる月経…そのメカニズムは実に複雑に精巧にできています。

月経は、一見、子宮だけが働いて出血が起きているようにみえるでしょう。しかしその背景には、脳の「視床下部」と「脳下垂体」、「卵巣」、「子宮」と、4つの器官の見事な連携プレーがあるのです。

視床下部が下垂体に司令を送る

すべての始まりとなるのは、脳の真ん中にある「視床下部」です。視床下部は、ホルモン分泌や体温調節、睡眠、摂食、性行動など、人間が生きていく上で根幹となる活動を担っています。

視床下部はすぐ下にある「下垂体」に『ホルモンを放出せよ』と指令を送ります。視床下部はホルモンオーケストラの指揮者、排卵はじまりの指揮棒がふられるのです。

下垂体は卵巣に働きかける

視床下部から指示を受けた下垂体は、2種類の「性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)」を分泌。ホルモンは血液とともに全身をかけめぐり、やがて卵巣へと到達します。

卵胞はぐんぐん発育

ゴナドトロピンで刺激された卵巣は、排卵の準備を開始します。卵子の元を包む原始卵胞は徐々に発育し、約14日間で22~23mmまで成長します。このとき、卵胞は「卵胞ホルモン(エストロゲン)」を分泌。それが子宮内膜を厚くさせ、おりもの(頸管粘液)の量を増やしていきます。

LHを大量放出!

さて、こうしている間も脳の視床下部は、卵胞から分泌される「エストロゲン」の量がどれくらいなのか、つねに血中濃度を感知しています。そして一定の濃度を越えたときに、LH(黄体形成ホルモン)を一気に大量に分泌するよう、下垂体に指示を出すのです。

このとき、まるで大波のようにLHが分泌されるので、「LHサージ(surge=大波、急上昇という意味)」と呼ばれています。

(2011年2月から掲載)