ピルで辛い症状を軽減

月経の前になると、「気分が落ち込む」「イライラする」「だるい」「頭痛」「腹痛」「腰痛」などの心身の不調を感じるものです。月経の2週間から1週間前におこり、月経がはじまると症状はなくなります。

これは「月経前症候群(PMS)」と呼ばれています。PMSの原因は、さまざまな説がありますが、黄体ホルモンによって体に水分がたまりやすくなることや、脳内の神経伝達物質セロトニンの低下が関係していると考えられています。

月経前の心身の不快な症状に悩んでいた人が、「自分はPMSなんだ」と知るだけで、安心して症状が軽くなることがあります。PMSは多くの女性が経験するもので、気にならないなら治療は必要ありません。ですが、症状が辛く生活に影響が出るときは、低用量ピルなどによって治療します。

また最近は、体の症状はないのに、精神的な症状が非常に重く、日常生活が困難になる人が増えています。まだあまり知られていないのですが、「月経前不快気分障害(PMDD)」と呼ばれています。

月経前になると、「イライラしてあたり構わず怒鳴り散らしてしまう」「話しかけられるのも辛い」「集中力が低下して仕事ができない」「起き上がる気力もわかない」「突然悲しくなって泣き出す」など、生活や周囲の人に影響が及ぶ場合は、がまんせずに産婦人科や精神科を受診しましょう。抗うつ剤(SSRI)などで治療をすると、気持ちが軽くなり、症状がおさまります。

(2011年2月から掲載)