年齢別・しつけの進め方
前回の「しつけの基本3原則」で、しつけは子どもの発達に合わせて、というお話をしました。今回は、どの時期にどのようにしつけを進めたらいいか、具体的に見ていきましょう。
子どもの発達段階を踏まえてしつけをすると、親子関係がもっとスムーズになりますよ!
0~1歳 いたずらは子どもの成長のあかし!
この頃の赤ちゃんは、まわりのものに関心をもって、自分から働きかけようとします。引き出しの物を引っぱり出してきたり、ひっくり返してみたり、舐めたり、噛んだり…親にしてみれば、困ってしまうこともありますね。
でも、これも裏を返せば子どもの成長のあかし。生まれたばかりの頃は何もできなかった赤ちゃんが、自分から動けるようになったんです! 「いたずら=困ったこと」ととらえず、できるようになった成長を喜んであげましょう。
この年齢の赤ちゃんに怒っても、何の効果もありません。しつけをすることよりも、まず「自分の行動が受け入れられ、自分が受け止められている」という安心感を育てることが大切。赤ちゃんの存在をまるごと受け入れてあげましょう。
そうすることによって、子どもとの信頼関係ができあがります。信頼関係は、すべてのしつけのベースになるもの。まずはしっかりとした関係づくりからスタートしましょう。
気をつけたいのは、薬をなめる、電気プラグをいじる、高いところにのぼるといった、赤ちゃんの危険な行為。でも、これは子どもが悪いのではなく、親の責任です。危険なものは片付けておく、コンセントにカバーをつける、家具の角にカバーをつける等、親があらかじめ予防してあげましょう。
危険なことをした赤ちゃんを叱るのではなく、赤ちゃんが安全で気持ちよく暮らせる環境を大人のほうで整えることが大切です。
1~2歳 いけないことは、その都度言い聞かせて
この頃になると、少しずつ言葉の意味が分かってきますが、まだ「なんとなく分かる」という程度。言葉で考えて自分の行動をコントロールすることはできません。大人のような記憶力もまだないので、場面が変わったらすぐ前にやったことを忘れてしまいます。「さっき言ったでしょ」は、通じないんです。
いけないことをしたら、わかりやすい言葉を使って、その都度繰り返し真剣に話して聞かせていきましょう。
自我が芽生えてきて、「イヤ」「自分で!」と自己主張をはじめる子もいます。手先の機能が未熟なため、自分で思うようにうまくできず、癇癪(かんしゃく)を起こすこともしばしば。子どもが自己主張をしたら、まずは気持ちを受け止めてあげてください。
もし、それが受け入れられない内容だったとしても、頭ごなしに「ダメ!」と言わず、「やりたいよね、だけど危ないからやめてね」と、まずは子どものやりたい気持ちを受け止めてから、やめてということを言い聞かせるのがポイント。子どもは気持ちが満たされると、言うことをすんなり聞くようになります。
また、この時期は大人のマネをしはじめるので、歯磨きなどは大人がやって見せ、それをマネさせていく方法も有効ですよ。
2~3歳 お友だちとのケンカは、親子で関わって解決を
2歳までの時期は「イヤイヤ~」と泣くだけでしたが、2歳を過ぎると、「~がイヤ」「~したい」と、自分の意思をはっきり言葉で伝えられるようになります。また、2歳までは一人遊びが中心でしたが、お友だちに関心が出てきて、自分から関わろうとしはじめます。
でも、子ども同士で上手に遊ぶことはまだちょっと先。この頃はオモチャの取り合いなどのトラブルが多くなってきます。ケンカという失敗を繰り返しながら、どうやったら仲良くできるのか、少しずつ学んでゆく時期なんです。
お友達とケンカをしたら、まず、子どもが見ている前で相手の親に「ごめんなさいね」と謝ったり、子どもに代わって相手の子に謝ったりしましょう。親が真剣に対応している姿を見せれば、相手のママも「お互いさま」と思ってくれるはずですし、子どもも親が謝っている姿を見て「いけなかったんだな」ということがわかるようになります。親と子で関わって解決するというプロセスが大切なんですね。
思い通りにならないと、癇癪(かんしゃく)を起こす子もいます。癇癪を起こしたら、子どもの気持ちを受け止めて話を聞く姿勢が大切。叱るのではなく、「なぜこうなったのか、お話しして」と聞き、子どもが話しやすい雰囲気をつくりましょう。子どもの気持ちがおさまったら、「どうしてダメなのか」ということを説明してあげて下さい。
3~5歳 理由を説明し、自分の頭で考えさせる
3歳を過ぎると、自分の頭で考え、約束やルールがわかるようになります。他人の気持ちや立場を理解したり、自分の気持ちをコントロールすることもできるようになります。わざと反抗したり、いけないことをして、大人の様子を見るようになるのも3歳から。この時期は言葉も心も大きく成長するんですね。
3歳を過ぎた子に頭ごなしに叱ったり、いい子であることを要求すると、反発されてしまいます。悪いことをしてしまった場合は、頭ごなしに叱るのではなく、「~だから、しちゃダメなのよ」と理由を説明したり、「〇〇ちゃんなら、どうしたらいいと思うかな?」と子ども自身に考えさせるのが有効です。
自我がしっかり育っているこの年頃の子には、子ども扱いするのではなく、一人の人間として尊重してあげるのがポイント。ほめるのもいいのですが、応援してあげる方が効果的です。「ほめる」というのは、上の立場の人が下の立場の人に向かってすることですが、「応援」は同じ立場で子どもの気持ちを支えてあげること。そうすると、「自分の力でがんばりたい」という気持ちがめばえて自信もつき、できた時の喜びが大きくなりますよ。