定期接種と任意接種のちがい
日本の予防接種の制度には「定期接種」と「任意接種」の2種類があります。また、個人輸入のワクチンもあります。
1.定期接種
該当するワクチン
- ヒブ
- 小児用肺炎球菌
- BCG
- 四種混合
- 麻疹風疹
- 日本脳炎
- HPV(子宮頸がん)
「予防接種法」という法律にもとづき、国が接種を強くすすめているワクチンです。多くの市区町村では、役所から各家庭に予診票や接種券などが配布され、決められた期間内なら原則、無料で接種することができます。
定期接種は義務ではありませんが、「保護者は定期接種を受けさせるため必要な措置を講ずるよう努めなければならない」とされています(努力義務)。また、万が一、定期接種による健康被害が発生した場合は、予防接種法に基づき、国から救済措置が行われます。
2.任意接種
該当するワクチン
- ロタウイルス
- 水痘(2014年秋頃から定期接種に移行予定)
- おたふく
- インフルエンザ
- A型肝炎
- B型肝炎
任意接種は、行政側が推奨するものではなく、希望者が受けるものなので、基本は自費です。しかし、近年は市区町村が独自に助成を行っているワクチンも増えています。
ワクチンの薬剤は、国から認可が下りた安全なものです。万が一、任意接種と因果関係が認められる健康被害が生じた場合は、医薬品副作用被害救済・研究更新調査機構によって救済措置が行われます。
※「定期接種」と「任意接種」という区分けは、便宜上、国が定めているもので、医学的な根拠はありません。任意接種の中には重症になりやすい感染症も多く、「任意接種=受ける必要がない」という意味では決してありません。任意接種の中には定期接種化が望ましいと議論されているものもあります。
3.個人輸入ワクチン
国の承認を受けていないワクチンを海外から個人輸入して、病院やクリニックで接種します。2012年に国が不活化ポリオワクチンを承認する前に、一部の医療機関で接種していたワクチンがこれに当たります。他に、途上国に渡航する際の「腸チフス」「コレラ」「髄膜炎菌」等も個人輸入です。
万が一、健康被害が生じた場合に公的な救済措置の対象にはなりません。輸入業者による独自の補償制度が用意されている場合もあります。
(2012年5月から掲載)