お産が持っている自然のリスク
10万人のうちの400人が亡くなっている統計を具体的に地域別に見てみましょう。
アフリカ830人、アジア330人、オセアニア240人、ヨーロッパでは24人の人が亡くなっています。一番多いのは、シェラネバダという国で2000人。この国では妊娠・ 出産したら、50人に1人のお母さんが亡くなっているんです。
それはどういう国かというと、内戦によってまったく医療がなくなった国なんですね。
でもアジアにはふつうの医療があります。それでも330人が亡くなっているんです。アジアをもう少し分けてみると、中南アジアは520人で、東南アジアは210人。日本を含む東アジアは55人で一番少ないのですが、それでも55人です。
これはいったい何を意味しているのかというと、それは妊娠・出産の持っている自然のリスクなんです。
WHOのユニセフが2000年にゴールドプランというのを立てて、妊産婦の死亡率を、10年間で400人から300人に減らすことを目標にしました。
でも、5年経っても変わっていないので、たぶん10年経っても変わらないだろうと言われています。それは、お産そのものがもともと持っている自然のリスクだからともいえます。
(2006年9月から掲載)