血管収縮を起こすニコチン

もう1つの問題は、ニコチンには血管収縮作用があることです。とくに末梢血管に作用します。タバコを吸う人の手先はよく冷たくなっていますが、これはニコチンによって血管が収縮して細くなり、血行が悪くなっているのです。ひどくなると脳血栓を起こしたり、脳梗塞、心筋梗塞にもつながります。

そうでなくても、妊娠中は血栓を作りやすいのです。妊娠初期はつわりなどで水分が不足すると血液が濃くなっています。後期になるとお産時の出血に備えて、速やかに血が止まるように血液の凝固機能が高まります。

つまり、妊娠初期~後期まで、ずっと血栓ができやすい状態が続いているのです。そのうえにタバコを吸えば、血管が収縮され、さらにそのリスクが高くなってしまうのです。

流産や子宮外妊娠、前置胎盤、常位胎盤早期剥離、前期破水、早産なども、喫煙によってリスクが高まるといわれています。

(2007年5月から掲載)