小児メタボ急増を考える

今、日本で問題になっているのは、小児肥満の急増です。

小児の高血圧症も、インシュリンを使って治療しなければならない小児の糖尿病も、小児のメタボリック症候群も増えています。原因は運動不足、食事内容の変化などを含めた生活習慣と言われています。生まれてわずか10年くらいで小児の成人病になってしまうのです。確かに、生活習慣もその原因と考えられますが、すべてを、それだけで説明できるでしょうか?

日本での現状をみれば、いままでお話したように、栄養状態が悪い妊婦さんが増えて、2500g以下の低出生体重児だけでなく、小さく生まれてくる赤ちゃんも増えています。ここ20年ほどで、男女とも体重が200gも減り、女の子の平均出生体重は3000gを切り、男の子も3050gになりました(2006年データ)。

おなかの中で、低栄養で育った赤ちゃんは、生まれたあとも少ない栄養状態で生き抜いていけるように、代謝系が変化します。

小さい赤ちゃんだと、親心として「大きく育てなくては」と思い、ミルクをたくさん飲ませ、離乳食もたくさん食べさせてしまいます。栄養過剰になってしまうのです。

このような状態も小児メタボ急増に関係していると考えるべきでしょう。

やせを美化してダイエットを続け、やせた状態で妊娠したり、妊娠中もあまり体重を増やさない、という日本の社会全体の風潮が、次世代の健康をおびやかす状態になっている。このことに早く気づいて欲しいと思います。

(2008年8月から掲載)