血液、ホルモン、頸管粘液、子宮卵管造影…女性が受ける検査とは

内診

医師が膣に指を入れて、膣や子宮、卵巣の様子を調べたり、痛みがないかチェックします。必要に応じて、器具を入れて内部を観察する場合も。

内診で子宮筋腫や子宮内膜症、ポリープなどが見つかることがあります。子宮や卵巣の腫れなども、確認できます。

下着を脱いで内診台にのぼり、足を開いて受けるので、スカートのほうがベター。

また、病院によっては内診と同時にクラミジアと子宮頸ガン検査も実施します。

クラミジア検査

クラミジアは性感染症のひとつ。炎症を起こして卵管が癒着してしまうと、不妊の原因になります。最近は不妊治療の初診で検査する病院が増えています。

「抗体検査」は血液検査で、クラミジア菌がいるかどうかがわかる「抗原検査」は綿棒状の器具で子宮頸管の細胞を採取して行われます。

子宮頸ガン検診

1年以内に子宮がん検診を受けていない場合は、検査を行うことがあります。

子宮頚ガンの検査は、細長い棒状の器具を入れて子宮頸部をこすって細胞を採取し、顕微鏡で調べます。このとき痛みはほとんどありません。

子宮体ガンの検査も子宮頚ガン検査とほぼ同じですが、子宮の内部にまで器具を入れる必要があります。

超音波検査

超音波をあてて、卵巣や子宮のようすをモニターに写して診る検査。内診と一緒に受けることが多いでしょう。

内診台にのって、プローブという細長い器具を膣に入れて、卵巣や子宮を映し出します。卵胞の成長や排卵の有無、子宮内膜の状態などがわかります。子宮筋腫や卵巣嚢腫、子宮奇形などが見つかることも。

血液検査

初診で行う血液検査は、貧血や病気の推測、感染症がないかなど、一般的な健康診断と同じ基本的な項目を調べます。

初診以降は、必要に応じてホルモン値を調べる血液検査(ホルモン検査)を行います。

ホルモン検査

血液検査や尿検査で、排卵や妊娠に影響するホルモンの数値を測ります。排卵時期の予測をしたり、治療がうまくいっているか確認するためにも、この検査はたびたび行います。月経周期に合わせて、各種のホルモン検査を行います。

低温期……卵胞を育てる「卵胞刺激ホルモン(FSH)」や、子宮内膜を厚くして頚管粘液を分泌させる「卵胞ホルモン(エストロゲン)」、排卵を起こさせる「黄体化ホルモン(LH)」

排卵期……排卵を起こさせる「黄体化ホルモン(LH)」、卵子の成熟度をみる「卵胞ホルモン(エストラジオール・E2)」

高温期……子宮内膜を整え、妊娠を維持する「黄体ホルモン(プロゲステロン・P4)」

この他、プロラクチン値や、甲状腺ホルモン値も、血液検査で調べます。

頸管粘液検査

子宮の頸管から分泌される「頚管粘液(おりもの)」は、排卵が近くなると量が増えてネバッとした状態になり、精子が子宮へのぼっていくのを助けます。

排卵期に粘液を注射器で採取して顕微鏡で見ると、独特のシダ状の結晶が見えるので、排卵日推測の参考になります。量が少なすぎたり、粘り気が強すぎると、精子がのぼっていきにくいので、正常に分泌されているかどうかもチェックします。

子宮卵管造影検査(通水検査、通気検査)

子宮の形や卵管の通り具合を調べる検査。膣から子宮口にカテーテル(管)を入れて、子宮の中に造影剤(ヨード)を流し入れ、卵管に流れ出す様子をレントゲン撮影します。妊娠の可能性がない月経後から排卵の時期に行います。

この検査では、子宮の大きさや形、子宮奇形、卵管の詰まりや癒着がわかります。造影剤を流すことによって卵管の通りがよくなるため、検査後6ヵ月、特に最初の3ヵ月間に妊娠する場合もあります。

レントゲン設備のないクリニックでは、空気を入れる「通気検査」や水を入れる「通水検査」で調べることも。個人差がありますが、痛みを感じることもあります。

抗精子抗体検査

抗精子抗体(こうせいしこうたい)が女性の体の中にあると、体内に入ってきた精子を異物と見なして攻撃し、精子の活動や受精を邪魔してしまいます。

特にフーナーテスト(性交後試験)で精子が確認できなかった場合に、血液検査で抗精子抗体の有無を調べる必要があります。

子宮鏡検査

膣から子宮内に直径3~5mmほどの管状になっている内視鏡(子宮鏡)を入れて、子宮の中をつぶさに確認する検査。超音波検査ではわからない、詳しい子宮内の様子を見ることができます。

着床のさまたげになることがある、子宮内の筋腫や内膜ポリープなどを見つけられます。小さなポリープであればその場で切除できます。日帰りで検査できます。

腹腔鏡検査

おなかに小さな穴を開けて、そこから腹腔鏡(ふくくうきょう・ラパロスコープ)を入れて、おなかの中を見る検査。全身麻酔で行うため入院が必要。

子宮筋腫や卵巣嚢腫、子宮内膜症や卵管周辺の癒着などが詳しく確認でき、小さなものであればその場で治療もできます。

腹腔内の精密検査として大変有用ですが、子宮筋腫の切除などの治療法としてもよく行われます。

(2008年3月から掲載)