不妊治療は“妊娠のお手伝い”

医療ができるのは2割、8割は本人の生命力

日本で不妊治療を受けている人は推定46万人。不妊治療によって生まれる赤ちゃんも1年間に1万8,000人以上――100人に1人という割合です。今や不妊治療はとても身近な医療です。

治療技術は年々、格段にレベルアップしていて、以前は妊娠を諦めていた人でも、赤ちゃんを授かれるようになってきています。

でも、治療すれば、必ず妊娠できるというわけではありません。医学が発達した現代でもなお、「生命の根源」は神秘のベールに包まれています。私は長年不妊治療に携わってきましたが、「妊娠に関して、医療の力で補助することができるのは全体の2割。残りの8割は本人の生命を育む力“妊娠力”に頼らざるを得ない」と感じています。

体外受精での妊娠も精子と卵子のパワーしだい!

例えば、体外受精では、排卵誘発剤で排卵を起こし、卵子を採取します。でも、イキイキとしたパワーに溢れた卵子が排卵されるかどうかは、本人の生命の力しだいです。

採卵した卵子は、シャーレ(専用の器)に入れ、精子を直接ふりかけて、受精させます。しかし、精子が卵子の中に入っていけるかどうかは、精子と卵子が健康で元気かどうかにかかっています。

精子が卵子の中に入っても、まだ受精とは言い切れません。精子と卵子それぞれの核が融合し、一つの核になったときに、やっと受精の成立です。受精卵は細胞分裂をスタートして、2細胞、4細胞、8細胞…と増えて成長します。この過程も、現代医学ではまだわからないことだらけ。うまく成長できないことも多いのです。

医療の力でできることは、適切な培養液を選んだり、培養室の管理をして、環境を用意することです。最終的には、卵子と精子の持っている力に頼るしかありません。

受精卵が細胞分裂を始めて、「胚」になったら、いい状態のものを選んで、子宮へ戻します(胚移植)。ところが、胚が必ず子宮内膜に着床できるとは限りません。私の病院では、4種類の胚移植法を用意して、できる限り着床率を高めようと努力していますが、それでもやはり着床できないことがあるのです。

こうした現実を見ると、不妊治療はあくまでも“妊娠のお手伝い”――主役は、どこまでも精子と卵子、本人の持つ妊娠する力なのです。

妊娠力アップのためにできることから始めて!

私は、イギリス、アメリカ、オーストラリアなどで最先端の治療を学び、独自の研究を重ねて治療にあたってきました。でも、続けていく中で、西洋医学の限界にも気がつきました。どんな最先端の技術や薬を駆使しても、卵子が老化していたり、本人の自然治癒力が低下していたら、治療の成果が上がりにくいのです。食生活が乱れていたり、ストレスを溜め込むような生活を送っていれば、本来持っているはずの妊娠力が弱まってしまうのです。

そこで、私は、食生活のアドバイスをしたり、カウンセリングに力を入れたり、気功やイメージトレーニング、ストレッチ、鍼、アロマセラピーなどを取り入れました。西洋医学では補えない部分を、どうにかしてフォローしたいと思ったからです。実際、こうした代替医療を取り入れて、治療成績はかなり上がっています。

これから紹介する“妊娠しやすい体づくり”は、妊娠力を高めるためのアドバイス集です。生活習慣の具体的な改善方法や、簡単にできる気功、イメージトレーニングなどのエッセンスが詰まっています。すべてを実行しようとすると大変で、ストレスになってしまいますから、「これやってみようかな」「面白そうだな」と思った項目から始めてみてください。

20代、30代の人なら1年、40代の人なら半年を目安に、排卵周期に合わせてセックスするタイミング法を続けてみて、それでも妊娠できなければ、勇気を出して不妊治療専門病院を訪れてください。排卵障害や、不育症、精子無力症など、何らかの原因があって不妊症になっている場合は、いくら生活習慣を改善しても、妊娠の可能性は高まりません。「不妊治療を恐れない」ということも、妊娠への近道なのです。

(2007年9月から掲載)

「妊娠力アップの体作り」の記事一覧

  1. 妊娠力ダウンの4大悪を知ろう!
  2. 食事編
  3. 生活編
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  5. リラックス呼吸法

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