生活習慣の改善でリスクを軽減

男性不妊は、生活習慣を見直すだけで解消されることもあります。

当院ではまず、タバコは絶対にやめてもらいます。喫煙は造精機能を障害するだけでなく、血流を悪化させるため、ED(勃起障害)の原因にもなります。タバコをやめた翌日に陰茎(ペニス)の血液循環がよくなったという報告もあります。また、タバコの成分は、精子のDNAを傷つけることも明らかになっています。

精子のDNAが損傷しているかどうかは、動きや形などの見た目では判断できないので、精液検査の結果は「正常」となります。精子のDNAが損傷しているかどうかは、精子を殺して調べてみないとわかりません。

顕微授精をするときは、動きと形を見て元気な精子を選ぶのですが、その精子のDNAが傷ついていると、妊娠後に流産にしてしまうこともあります。妊娠を希望しているなら、タバコは男性も女性もご法度です。

お酒も大量に摂取して、アルコール依存症のような状態だと、精子に悪い影響を与えます。でも、適量なら問題ありません。

最近、男性の育毛治療薬として処方される飲み薬「プロペシア」。この主成分の「フィナステリド」は、5mg服用すると、性腺機能を低下させるというデータがあります。プロペシアには0.2mgまたは1mgしか含まれていないので、精子に影響はないとされていますが、私の患者さんで服用をやめてもらうと、精液所見が改善した人が何人もいるので、私は「子どもがほしいと考えているときは服用をやめ、子どもができてからカッコイイお父さんを目指せばいい」と話しています。

抗うつ薬のSSRIも男性不妊の原因となります。でも、SSRIは、タバコやプロペシアと違って自己判断ではやめることはできません。必ず、精神科と泌尿器科の主治医に相談してください。

また、睾丸は熱に弱いので、ぬるめでもお風呂にゆっくり入浴する習慣がある人は見直してみましょう。男性不妊の方に、お風呂に30分以上入る習慣をやめてもらい、3ヵ月後に調べると、精液量や精子の数、運動率から算出した数値が2倍以上に向上したという調査結果もあります。

精子の生産能力は、頻繁に射精したほうが高まります。マスターベーションも含めて、少なくとも週に1回以上射精するのが理想です。

(2011年5月から掲載)