切迫早産の最大の治療は「安静」

12週以降の切迫流産、切迫早産と診断された場合、赤ちゃんが外の世界で生きられるようになるまで、何としてもおなかの中に留めたいと思うことでしょう。

今、医療現場ではさまざまな治療が試みられ成果も上がっていますが、流早産を防ぐ決め手となる「特効薬」はまだないのが現状です。

現在、あらゆる治療の中でもっとも効果が認められているのは「安静」、これに尽きるのです。

切迫早産は自覚症状がないことが多いですし、仕事や上の子のお世話、介護など、さまざまな事情があって「寝てばかりいられない」と思うかもしれません。しかし、安静にしていなければならないのは、長い人生の中でほんの一時です。数週間から、長くても3~4ヵ月。この間、周囲に迷惑をかけるのは、一人の赤ちゃんの健康と命を守るためだと思って、どうか安静にしてほしいのです。

中には「張り止めの薬を飲んだから、動いてもいいですか?」「どうしても仕事は休めないから、薬だけください」という人もいますが、張り止め(子宮収縮抑制剤)が早産に効果があるというじゅうぶんな科学的根拠はありません。もっとも確実な治療である「安静」を捨てて、薬だけ飲むというのは、本末転倒です。

もし医師から切迫早産で自宅安静が必要と言われたら、診断書を書いてもらい、職場に提出して休職してください。安静といっても、症状によってどれほどの安静が必要なのか異なるのですが、基本的には家で横になって過ごしましょう。買い物はネットスーパーの宅配にする、洗濯の回数を減らして家族に頼む、食事は短時間で作れるメニューにしたりお惣菜を買ってもらうなど、負担が軽くなるように工夫してみてください。

上の子がいる場合、役所の福祉課に相談すれば、保育所や預かり施設に一時的に入所させてもらえる場合もあります。ファミリーサポートセンターでヘルパーさんを探すのもいいでしょう。

(2011年12月から掲載)