悲しみと向き合うことが癒しに
悲しみを癒す唯一の方法は、たくさん悲しんで、赤ちゃんを失った悲しみと向き合うことです。
「あんなに心待ちにしていたのに…」
「どうして私だけ」
「私がいけなかった?」
「赤ちゃんを抱っこしたかった」
「予防できなかった?ミスでは?」
「幸せそうな妊婦さんは見たくない」
「他の赤ちゃんを見るだけで辛い」
「これからどうなるの?」
流産・死産をした直後は、たくさんの悲しみや辛さ、苦しみ、疑問や怒り…ネガティブな感情が、あとからあとから沸いてきます。
でも、それでいいのです。感情をあらわして、涙を流してください。泣き喚いてもいいし、怒ったっていい、取り乱したっていい。ありのままの思いを表現してください。
長い時間はかかります。
すぐに立ち直ることなんて、できるわけがない。
でも、自分の素直な気持ちを表していくうちに、少しずつ少しずつ、悲しみが昇華され、「赤ちゃんが亡くなったことの意味」へと思いが向かっていきます。
時間がたてば忘れられるわけではない。
でも、赤ちゃんが来てくれたことを受け入れることができてくるかもしれない。
「赤ちゃんは亡くなってしまったけれど、家族の真ん中にあの子がいる」
「あの子は私たちを親にしてくれたんだ」
「いのちの尊さは、生きた時間の長さじゃない」
乗り越えることとは、忘れることではなく、一緒につきあってゆくこと。
深い悲しみを心の底にたたえながらも、少しずつ前を向いて、ゆっくりゆっくり、日常を生きていくことができるようになっていきます。
(2009年10月から掲載)