亡くなった赤ちゃんもきょうだいも家族

実際、亡くなった赤ちゃんを抱っこすると、最初は涙で一杯ですが、不思議とお母さんの表情もやわらかくなってきます。やはり自分の赤ちゃんですから、かわいいし、愛おしいのです。

直接触れてみることって大切なのでしょう。
一晩、ずっと一緒に過ごす方もいます。

家族みんなで記念撮影をしたり、手作りの帽子や靴下を履かせてあげる方もいます。

私は幼いきょうだいにも、真実を話し、亡くなった赤ちゃんに会わせることをすすめています。

まだ幼いからといって、その場限りの嘘をついても、何かよくないことがあったということは勘づくものです。お母さんのお腹が大きくなってからの死産なら、赤ちゃんがいなくなったということもわかるでしょう。

本当のことを伝えなければ、子どもたちと亡くなった子の話をすることができませんし、お母さんも無理に元気に振る舞わなければならないなど、悲しみと向き合うことにならないのではと考えています。

実際に合わせてみると、子どもたちは、亡くなった赤ちゃんを見て「かわいい」と言って、なでたり、抱っこをしたりして、家族として自然に受け入れていきます。

子どもって、僕たち大人のような偏見がないんだなって。トラウマになってしまうと思っていたけど、そんなこと心配する必要はなかったんだって。それは、感動します。

お別れのときは、小さな棺おけにお花をいっぱいにして、家族からの手紙やおもちゃなどの思い出の品などを添えて、お見送りします。

また、私の病院では、赤ちゃんの形見として、家族写真、手型や足型をとってお渡ししていますし、初期流産の方でも、希望があれば、赤ちゃんの体を包んで、へその緒を入れる桐の箱に入れてお渡しています。

このようなことを行う病院はまだごく一部ですが、少しずつ増えてきています。

(2009年10月から掲載)