子宮的に生きよう
私は、今まで、流産・死産をされた方々とのたくさんの出会いを通して、「どうしたら、悲しい経験を受け止めて、より豊かな人生へ一歩踏み出すことができるのだろう」と考えてきました。
その答えは人によって、家族によってそれぞれちがって、一つの正解はないと思うのですが、「子宮的に生きる」ということは、地球に生まれた私たち全員にとって大きなテーマだと思っています。
子宮は、あるがままを受け入れます。遺伝的に異なった父親の精子と母親の卵子がひとつの受精卵となって、私たちは生まれてきました。新たな命は、母親にとっては異物です。
そんな異物を、子宮はそのまま受け入れるのです。 子宮から、私たちの命ははじまりました。
だから、私たちも子宮になればいい。あるがままの自分、あるがままの相手、あるがままの人生――。
心待ちにしていた赤ちゃんとの対面が叶わなかった…そんな胸が張り裂けそうな悲しみや苦しみさえも、子宮のように受け入れる――そんな生き方が、これからの時代、ますます求められているのだとぼくは思います。
私たちが母親の子宮の中で最初に獲得する感覚…それは、聴覚でも、視覚でもなく、“触れる、触れられる”という皮膚感覚です。まだ、身長が2cmしかなかった妊娠8週の頃から、子宮が触れてくれているのを感じながら、私たちは育ってきました。
その温かな感触は、私たちの根っこにしみついていて、大人になっても、辛い時や悲しい時、不安な時に、胎児の頃と同じ姿勢で布団の中で丸まっていると何となく体と心が楽になってくるものです。
原初感覚である“触れられる”が満たされるとき、きっと自分を守るための鎧を脱ぎ、心の蓋を開けられるようになるのでしょう。
子宮的な感覚を身近に感じるための心の支えとして、お守りのようなものがあったらいいな、と思って、私は「しきゅうちゃん」というキャラクターを作りました。
悲しいときや辛いとき、毎日手のひらで優しくつつみこんで、触れあう感覚を満たしてほしい。つつむことで、あなたの子宮の中で時をすごした、かけがえのない赤ちゃんと、あなた自身も感じてほしいと、しきゅうちゃんのストラップをつくりました。
頑張らなくっていいんです。家族を抱きしめて、自分自身をやさしく抱きしめて、そのままのあなたを感じながら、ゆっくり、ゆっくりと歩んでいってください。