「発達障害」は脳の障害。近年、発達障害と診断される子どもが増加!

脳の機能になんらかの問題があって発症する病気で、その症状が発達期に(幼小児期、青年期)に現れるものをまとめて「発達障害」と呼んでいます。

たとえば、知的能力に困難を抱える[知的障害]や、社会性、コミュニケーション能力、イマジネーションの障害がある[自閉症]や[アスペルガー症候群]、さらに、注意を集中するのが苦手だったり衝動のコントロールが苦手な[ADHD(注意欠陥他動性障害)]、字の読み書きや計算がうまくできない[LD(学習障害)]などは、「発達障害」の一種です。

「発達障害」という字の持つ印象から、「子どもが発達していく途中で、親の接し方やしつけなどの影響があって、発症するもの」と誤解されてしまうことがあるのですが、そうではありません。

発達障害は、ほとんどが、生まれつきの脳の機能的な障害で、決して、親の接し方などが原因ではありません。

まずは、こういった偏見をなくし、正しい知識をもつことからスタートしてほしいと思います。

発達障害をもつ子が増えている…?

近年、「発達障害」と診断される子どもは、増えています。

たとえば、自閉症と診断される人は、1980年代に4000-6000人に1人と言われていましたが、今は500-1000人に1人といわれています。

ただし地域によって調査結果が異なり、全体の数値はよくわかりません。

今、小学校の1クラスに、1~3人は、なんらかの発達障害を抱えていると言われています。

こう聞くと、お母さん方は「どうして!?」「何が原因なの?」と不安になってしまうと思います。

しかし、本当に、発達障害を持つ子どもが昔よりも増えているのかどうかは、わかっていません。

かつては「発達障害」という概念が、あまり知られていませんでしたし、これらの障害の定義自体が、時代と共に変わってきています。

「自閉症」はずいぶん前からよく知られていますが、「ADHD」や「LD」、「アスペルガー症候群」などの名前が、社会に浸透してきたのは、ここ数年のことです。

自分が小学生の頃のことを思い出してみてください。

落ち着きがなくて授業中に歩き回ってしまう子や、すぐに喧嘩をしてパニックを起こしてしまう子が、クラスの中にいたでしょう?

昔から、発達障害の特性をもつ子どもたちはいたのです。

最近は、テレビや雑誌などを見て、「うちの子は…」と受診する人が増えたので、結果として、「発達障害」と診断される子どもが増えている、という側面も大きいと思います。

(2009年10月から掲載)