原因はホルモンの変化

人間には3つの性がある!?

妊娠から出産までの約10ヵ月間、女性の体にはさまざな変化が起こります。「妊婦は女の体の延長ではなく、まったく別の生理機能をもった、別の生き物といっていいくらい・・・」と池下先生。

男でもなく女でもない、もうひとつの性「妊婦」になるというのです。その大きな変化をもたらしているのはホルモン。妊娠中は、分泌されるホルモンの量や種類が激変します。

妊娠前には生理が終ると減少していた黄体ホルモンが、妊娠を維持するためにぐんぐん上昇し、8ヵ月ごろにはピークに。乳腺の発達などをうながす卵胞ホルモンも、臨月まで急カーブで増え続けます。

さらに、胎盤のもとになる絨毛(じゅうもう)という組織からは、hCGホルモンが新たに分泌され、妊娠3ヵ月をピークに急上昇し、4ヵ月後半には急降下。

こうしたホルモンのダイナミックな変動に、これまでの女性としての体や心が追いつかず、時に不調になるのは当然のこと。

しかも、ホルモンをコントロールする脳の視床下部という所は、体温を調整したり、心臓を動かしたり、免疫を調整したりする、自律神経も指揮下においています。そのためホルモンの急激な変化が、自律神経をも刺激して、心や体の不調を引き起こすことがあるのです。

体が熱っぽくなったり、肌が荒れたり、便秘になったり、つわりで食べられなくなったり。妊娠線や腰痛、むくみに悩まされたり・・・。

ママにとってはつらいマイナートラブルですが、すべてはおなかの赤ちゃんのために起こる体の変化。「女」から、子どもを守り育てるタフでやさしい「母親」になろうとがんばっている証!!

乗り越えた先に待っているのは、ママとしての幸せや充実感。前向きに対処していきましょう。

(2011年4月から掲載)