不育症
読み方
ふいくしょう
症状の説明
流産や早産、死産を、3回以上繰り返すことを不育症という。
原因は、子宮の奇形や子宮筋腫などの子宮の形態異常、高プロラクチン血症や黄体機能不全などのホルモンの異常、内科疾患、夫婦の染色体異常、免疫異常など様々。不明な場合も多い。
夫婦の染色体異常による不育症は、両親またはどちらかの染色体の一部が、本来の位置とはちがう部分にある「転座(てんざ)」といわれる染色体異常をもっていることが原因。
この「転座」が胎児に遺伝したため、異常とみなされ流産する。
しかし、胎児の遺伝子が毎回異常になるわけではなく、正常に受け継がれる場合もあるため、体外受精時に、着床前に受精卵の染色体を検査する「着床前診断」で妊娠を試みることもある。
免疫異常は、「同種免疫異常」と「自己免疫異常」がある。
「同種免疫異常」は、夫婦の染色体の一部が、互いに似ていることが原因で起こる。母親の免疫が、胎児を攻撃してしまうため、流産する。
不育症のうち60%は、同種免疫異常が原因とも考えられている。
治療は、赤ちゃんを異物として拒絶しないようにリンパ療法が行われる。
「自己免疫異常」は、母親の免疫が、遺伝子が異なる胎児や絨毛(胎盤)を異物と認識して攻撃し、流産してしまう。中でも「抗リン脂質抗体」によるものがよく知られている。
母親の免疫が「抗リン脂質抗体」を作り出し、胎盤に血栓ができたり、血流が悪化し、流産や早産に至る。
治療は、血栓や抗体をつくりにくくする薬を投与する。
(2009年10月から掲載)