[不妊の原因 4]受精のトラブル
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子宮頸管の粘液が少ない
膣と子宮を結ぶ子宮頸管(しきゅうけいかん)は、「頚管粘液(けいかんねんえき)」、つまりおりものでうるおっています。普段は頚管粘液の量は少なく、ベタっとしています。排卵期になるとエストロゲンというホルモンの作用で、頚管粘液は精子が膣から子宮にのぼってきやすいように変化。
分泌量が増えて、無色透明になり、指にとると10cm以上伸びるようになります。 エストロゲンの分泌がうまくいっていないと、排卵時期の粘液の量が少なくなり、精子が通りづらくなってしまいます。
抗精子抗体
女性の体が男性の精子に対する抗体を作ってしまうもので、精子を異物と判断して攻撃して妊娠を妨げます。抗精子抗体(こうせいしこうたい)は頸管粘液にも含まれているので、精子はそこでブロックされて先に進めません。 抗精子抗体の可能性はフーナーテスト(性交後試験)でつかめます。
精子の数が少ない、元気がない
精子のトラブルも不妊の大きな原因。 精液1ml中の精子数が2000万個以下の「乏精子症(ぼうせいししょう)」、元気に運動する精子が少ない「精子無力症」や、奇形精子の数が多い「精子奇形症」などは、自然に妊娠するのはむずかしくなります。精液中に精子が1個も見られない「無精子症(むせいししょう)」の場合、自然妊娠は無理ですが、睾丸の中に精子がいれば顕微授精によって妊娠できる可能性はあります。
精子の状態は、ストレスや疲れなどに左右されやすいので、検査は複数回行うほうがよいと思われます。
精子を作る機能・通路に障害
精子を作る工場である「精巣」の機能がうまく働いていないと、精子を作り出すことができません。生まれつきその機能を持たない場合や、おたふく風邪で精巣炎を起こして精子が作れなくなるケースも。精巣から出る静脈に血液が滞ってしまう「精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)」が原因になっている場合もありますし、原因不明のケースも少なくありません。
「精子が作られているのに精液にはいない」という場合は、精子の通行ルートである「精管」にトラブルがある「精路通過障害(せいろつうかしょうがい)」が疑われます。生まれつき精路がない場合のほか、幼少時のヘルニアなどの手術で精管を縛られていた、というケースも。
また、本来行くべきではない膀胱側に射精してしまう「逆行性射精」というトラブルも。
【参考】
ママニティ大百科
・「不妊」ってどういうこと?/監修:はるねクリニック銀座院長 中村はるね先生
・不妊治療のはなし 不妊の検査/監修:IVFなんばクリニック理事長 森本義晴先生
公開日:2016/01/01