ママニティ大百科

妊娠中に気をつけたい感染症リンク集
サイトメガロウイルス

サイトメガロウイルスは、多くの人が大人になるまでに一度は感染するありふれたウイルスです。感染しても無症状か、風邪なような症状や軽い発疹程度でおさまることがほとんどです。しかし最近、感染しないまま成人する人が増えています。清潔な環境になり、子ども同士が体をぶつけあって遊ぶことも少なくなり、感染の機会が減っているのです。妊婦の約3割が未感染で、抗体をもっていません。
妊娠中に初めて感染した場合、妊婦には症状が出なくても、胎児に感染して影響をおよぼすことがあります(先天性CMV感染)。二度目の感染や妊娠成立前の感染では、胎児感染はほとんどありません。

☆感染するとどうなる?
妊婦が感染しても、胎児への感染率は3〜5割。国内の調査では、1000人の妊婦のうち7人が検査で陽性となり、そのうち3人の新生児が先天性CMVでしたが、出生時点では症状はありませんでした。先天性CMVの9割は、出生時は無症状です。
残りの1割にさまざまな症状が出ます。小頭症や水頭症、低出生体重、視力障害、聴覚障害、脳の石灰化、黄疸、血小板減少、腹水、肝脾腫、知的障害などが報告されています。
また、出生直後は無症状でも、数年後に難聴を発症することもあります。

☆主な感染ルート
輸血、臓器移植、尿、唾液、性行為、産道感染、母乳感染など。特に、子どもが感染すると、無症状でも数年にわたって唾液や尿にウイルスが排出されます。妊娠中の感染は、オムツ替えやスプーンや箸の共有などで上の子から感染することが多いと考えられています。唾液や尿に触れたあとに手洗いを徹底することで、ある程度予防することができます。性行為については、制限しても予防につながるかどうかわかっていません。

☆検査について
現在、CMVの抗体検査は妊婦全員に行われているものではありません。胎児への感染を予防するワクチンや、胎児の重症化を防ぐ治療法がないため、妊娠中の検査の有効性がまだ認められていません。一部の医療機関で、以下の検査が行われています。

【妊娠中の検査】
血液検査で抗体があるかどうか調べます。費用は2000〜3000円ほど。抗体がない場合は初感染する可能性があるということなので、感染者の尿や唾液との接触を避けたり、手洗いを徹底するなど予防意識を高めることができます。
抗体があった場合は、妊娠前の感染なのか最近感染したのかを調べますが、正確に特定できない場合も。超音波検査によって胎児感染の兆候がないかを経過観察していくことになります。胎児に感染していた場合の治療法は研究中で、まだ確立されていません。

【出生後の検査】
臍帯血や出生後3週間以内の赤ちゃんの尿から、CMV感染の有無を調べる方法がありますが、一部の施設にしか普及していません。重い症状が出ている場合は、抗ウイルス薬などで症状を軽くする治療が行われますが、保険適用外で副作用もあります。
感染していても症状がない場合は、経過観察。専門医による定期的な聴覚検査を受けると、異常が見つかったときに早期から補聴器をつけるなど対処することが可能です。
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