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妊娠中に気をつけたい感染症リンク集
トキソプラズマ症

トキソプラズマは、目では見えないミクロの寄生虫(原虫)です。主に猫に寄生しますが、人やほ乳類、鳥などにも感染します。健康な人がかかっても無症状か、軽い風邪程度の症状で何の問題も起こしません。しかし、妊娠中に初めて感染すると、胎児にも感染して、胎児発育不全や水頭症、小頭症、中枢神経の奇形、失明、てんかんなどの「先天性トキソプラズマ症」を引き起こすことがあります。妊婦の9割以上は未感染というデータがあります。

☆主な感染ルート
・猫の糞
・砂場や庭、畑などの土
・生肉、生ハム、サラミ

トキソプラズマは、経口感染。汚染されている食材を生で食べたり、手指に付着してそこから口に入ることで感染します。トキソプラズマが寄生した直後の猫の糞には、シスト(卵のようなもの)が混じっています。排便直後の糞には感染力がありませんが、2〜3日放置されると人間に感染するようになります。
とはいえ、妊娠中は猫を飼えないというわけではありません。糞の始末をこまめにして、よく手を洗うことで感染を防げます。糞にシストを排出しているのは猫のごく一部で、特に注意が必要なのは外飼いや野良の猫です。

猫よりも感染リスクが高いのは、公園の砂場や庭、畑などの土いじりです。猫の糞とともにトキソプラズマが混じっている場合があるので、土を触ったらよく手洗いをしましょう。
また、最近は食生活の変化から、生肉や加熱が不十分な肉、生ハム、サラミなどから感染するケースが多いと考えられています。妊娠中は、これらの食材を控えましょう。

☆感染するとどうなる?
感染した時期によって、影響がちがいます。妊娠前に感染していれば、将来、妊娠しても胎児への影響は心配ありません。一度感染すれば抗体ができるので、妊娠中に初感染する心配はなくなります。
妊娠初期は、胎児に感染するリスクは2%と低いものの、感染した場合は高い確率で胎児に重い症状が出ます。流産、死産、胎児発育遅延、水頭症や小頭症、脳の石灰化、精神運動障害、失明など。
妊娠後期は高い確率で胎児にも感染しますが、特に症状がなかったり、軽い症状ですむことが増えます。
先天性トキソプラズマは、年に5〜10人報告されています。しかし、出生直後は無症状でも成長とともに症状が出てくるケースもあり、年間130〜1300人の先天性トキソプラズマ児が誕生していると推定されています。(実際の統計データは無い)

☆トキソプラズマの検査
トキソプラズマに感染しているかどうかは、血液検査で調べることができます。妊婦全員に義務づけられている検査ではありませんが、希望すれば受けられます。
最初の検査で抗体が陽性だった場合は、次に、いつ感染したのかを調べるための血液検査をします。早期に診断できれば、胎児の重症化を防ぐための投薬治療ができます。また、出産後に感染がわかった場合も、神経や眼に影響が出る確率を下げるための投薬治療が行われます。
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