ADHD・注意欠陥多動性障害とは【発達障害の用語解説】

概要

ADHDは、日本語では「注意欠陥多動性障害」と呼ばれています。「多動性障害」と呼ぶ事もあります。

これは診断基準がちがうだけで、同じ障害の別の呼び方と考えてもいいでしょう。

「ADHD」は、アメリカの精神医学会がつくった診断基準(DSM-Ⅳ)によるもので、
1.不注意
2.多動/衝動性
という2つの基準を満たすと、ADHDと診断されます。

「多動性障害」は、WHOがつくった診断基準(ICD-10)によるもので、
1.不注意
2.多動
3.衝動性
という3つの基準を満たすと、多動性障害と診断されます。

具体的には、以下のような行動がみられます。

1.不注意

1つのことに集中できない、やりかけのまま別のことを始める、物をなくことが多い、忘れ物が多い、気が散りやすい。

2.多動

体のどこかを動かしている、じっとしていられない、よく走り回る、いつも動き回っている。

3.衝動性

気持ちが抑えられない、出し抜けに答えてしまう、順番が待てない。

診断のつきやすい年齢

小さな子どもに落ち着きのないのは自然なことです。

発達のスピードは子どもによって違いますから、特に困っていることのない限り、5歳までは個性ととらえましょう。

ADHD・多動性障害がどうかの診断は、5歳を過ぎてからが1つの目安になります。

原因

ADHD・多動性障害の発症のリスクを上げるものの1つに、妊娠中の喫煙や飲酒があります。飲酒や喫煙をしたら必ず病気になるというものではありませんが、可能性が高くなります。

また、遺伝子も関係しているだろうと言われています。

難産や妊娠中のストレスなど妊娠・出産時のトラブルとの関連も考えられていますが、はっきりとはわかっていません。

治療

ADHD・多動性障害の場合は、環境を調整したり、ルールを作って行動を変えていく「行動のマネジメント」と同時に、薬での治療も行われます。
1.不注意
2.多動
3.衝動性
という3つの特徴を満たす場合には、薬が効く人が多いといわれています。

薬は脳の中枢神経を刺激する薬を用います。
ADHDは落ち着きがなく、「ブレーキ」がききにくい状態と考えられるので、そのブレーキを刺激してききやすくする薬を使います。

(2009年10月から掲載)