しつけの基本3原則
赤ちゃんが大きくなってくると、ママとパパを悩ませる「しつけ」。言うことをきいてくれない子どもに、イライラ、カッとなったり、うまくいかないと落ち込んだり…。
でも、「~しなさい」「~してはいけません」と子どもを押さえつけることは、本当のしつけではないんです。じゃあ「しつけ」って一体何!?
今回は、すべてのしつけの土台になる、基本の3原則をご紹介します。大丈夫、硬く身構えることはありませんよ。ポイントを押さえて、しつけの一歩を踏み出しましょう!
1.しつけは、ともに生活する中で、心地よく過ごすためのもの
しつけというと、「厳しく」「心を鬼にして」というイメージを思い浮かべるかもしれません。確かに厳しさも時には必要ですが、しつけの最初の一歩は「心地よく過ごすこと」からはじまります。
例えば、赤ちゃんはおむつが濡れると不快になって泣きます。その泣き声を聞いたママは、すぐにおしりをきれいにしてあげます。新しいおむつに替えてもらうと、赤ちゃんは気持ちよくなってゴキゲンになりますよね。こうして心地よさの経験を積み重ねていくことで、だんだん自分から心地よく過ごそうという気持ちが芽生えていき、やがて、トイレトレーニングへの一歩につながっていきます。
遊んだら手を洗う、洋服が汚れたらお着替えする、ということも、ママが「手を洗いなさい」「着替えなさい」と言われたからするものではなく、心地よく気持ちよく過ごしたい気持ちがもとになって形成されていくのです。生活習慣を身につけるためには、まず生活の心地よさを教えてあげなければならないのです。
人とのかかわりも同じなんですね。泣いたらママが来てくれた、抱っこしてくれたなど、ママやパパとの心地よいかかわりの中から、赤ちゃん自身が「みんなから愛されているんだ!」「生まれて来てよかったんだ!」という気持ちを持つようになります。
この気持ちは「自己有能感(じこゆうのうかん)」といって、赤ちゃんが生きていく上でとても大切なかけがえのないもの。家族からあたたかく受け止められること以外に、これを身につける術はないのです。周りの人に愛された経験から、自分自身も周りの人を大切にしようという心が生まれるんです。
2.しつけのベースは、親と子の基本的な信頼関係
赤ちゃんは、抱っこややさしい笑顔をたくさんもらうことによって、ママやパパが「大好きな人」になり、そこから親と子の基本的な信頼感が生まれます。
誰でも、信頼している人には好かれたいですよね。赤ちゃんも同じで、信頼している人には好かれたい、悲しませたくない、心を通わせたいと思うようになり、その人の言うことを受け入れるようになります。
たとえば、1~2歳の時期は何でも「ヤダ!」と言うことが多くても、本当に危険な場面で、ママやパパなど信頼関係が育っている人から真剣に「危ないから、これはダメよ」と言われた時には、すんなりうなずくものなのです。
ふだんどんなにいたずらっ子でも、親子の信頼感がふつうに育っていれば、本当にやめてほしいことをすっとやめることができるんですね。
この信頼関係を育てるためには、赤ちゃんの心を受け止められているかどうかが大切なポイント。ママが上の空で子どもと遊んだり、そっぽを向いたまま抱っこしていても、親子の信頼感は生まれないのです。赤ちゃんと心を通わせて、コミュニケーションしていくことが、しつけにつながるんですね。
3.子どもの発達段階に合ったしつけを
0歳の赤ちゃんに「~しなさい」と言うママはいませんが、1歳、2歳になってくると、「手が汚れたら洗おうね」などと言うようになりますよね。しつけは、人が言っていることが理解できるだけの発達段階に達していないと意味がありません。
3歳未満と3歳以上では発達段階は大きく違います。しつけの面でも、3歳未満と3歳以上では大きく分けて考えます。というのも、3歳を過ぎると言葉が発達してくるので、言葉で客観的に物事を考えられるようになるのです。
たとえば、電車の中で子どもが走り回ってしまったとします。1~2歳までは、ママが「電車の中は、静かにしてね」と言ってもすぐにまた走り回ってしまうものですが、3歳を過ぎた頃から、だんだん「ここは走ってはいけないんだな」と理解してガマンできるようになっていくんですね。
3歳未満の小さな子に厳しく言って聞かせても、子どもはほとんど言うことを聞いてくれないので、ママのストレスがたまるばかり。3歳未満の子どもにとって大切なのは、厳しいしつけより、自我をのびのびと育ててあげること。
人生80年時代をしっかり生きていけるような自我を育てるためには、3歳未満はとても大事な時期なんです。自我の育ちに必要なのは、自由に十分遊ぶことなので、しつけということをあまり早くから意識して子どもの気持ちを押さえつけたりせず、子どもの意思を尊重してのびのびと育ててあげましょう。