早期流産(妊娠12週未満)とは/用語解説

妊娠12週未満の初期の段階で流産することを、「早期流産」という。全妊娠の約15%がこの時期に流産となる。受精はしたけれど着床できずに流れてしまう「化学的流産」を含めると、全妊娠の30%にものぼる。

症状

出血、下腹部痛、腰痛、つわりの軽減など。無症状であることも多い。

病院では、超音波検査で「胎嚢(たいのう・赤ちゃんの袋)が見えるのに、胎児は確認できない」、「胎児は見えたけれど、心拍が確認できない」といったことから確定する。

原因

早期流産ほとんどは、胎児側の要因。少なくとも半数は、胎児の染色体異常と考えられており、他に、子宮外妊娠、胞状奇胎、臍帯や卵膜の異常がある。

母体側の要因としては、少ないが、子宮奇形や子宮筋腫、子宮頸管無力症、感染症、甲状腺疾患、糖尿病、自己免疫疾患、薬剤、放射線被爆などがある。

ほとんどの早期流産は、受精の時にきまっている。母親が無理をしたから、流産になることはまずはない。胎児はあたえられた時を、子宮の中でまっとうしている。

医療処置

胎児を取り出すために、「子宮内容除去術」をおこなう。日帰り入院か、1泊入院をする。

手術の数時間前に、子宮の出口を広げるための「ラミナリア」という海草を棒状に固めた器具を子宮口に挿入する。

ラミナリアは水分によって膨らむので、少しずつ子宮口が開いていく。子宮口がかたく閉じている場合は、前日から入院して、時間をかけて開く。

全身麻酔をかけてから、子宮に器具を挿入して、内容物を取り除く。処置の時間は10分ほどで終わるが、麻酔が切れるまで3~4時間は安静にする。

手術後の経過

術後、無理は厳禁だが、すぐにふつうの生活が可能。

子宮内容除去術のあとは、3~5日後に経過を診るために受診し、感染や炎症が起きてないか検査を行う。1~2週間後にもう一度受診して、病理検査の結果を知らせる。

早期流産の場合、赤ちゃん側に原因があることがほどんどである。

しかし、流産を何回か繰り返している場合は、母親の甲状腺疾患や自己免疫疾患、両親の染色体異常なども考えらるため、血液検査や染色体検査(絨毛という胎盤になる組織を取る)を行うことがある。

早期流産の後は、その翌月か、2ヵ月後には生理が再開する。

母体の回復を待つために、2回程度生理を見送り、その後はいつでも妊娠可能。 ただし、その前に妊娠したとしても、大きな問題はない。

(2009年10月から掲載)