近くでお産ができなくなる不安!?

これまで述べたように、産科の医師は24時間365日労働を要求され、しかもシステムの問題なのに結果が思わしくなければ裁判となります。

さらには、同じ公立病院でも他の科よりも勤務時間は長く重労働なのに、給料が同じなのも問題なのです。産科を目指す医師が減るのは当然といえます。

お産場所の減少は深刻です。たとえば東京近郊に、年間700人ぐらいのお産している市民病院がありました。その周辺には開業医も5~6軒ありました。ところが、市民病院に7人いた医者が病気をしたり、産休になったり、体調を壊したりして、2人になってしまった。

2人でこれまでの700人のお産を行うのはムリですし、過酷な状況で万一、医療事故が起きると危ないから、お産そのものを辞めてしまった。そうしたら、まわりの開業医まで辞めてしまったのです。

開業医は、何かあったときに緊急に搬送できる大きな病院があるから、安心して開業できるわけで、そうじゃないと不安でお産はできないのです。

それが今の現状なんです。

(2006年9月から掲載)