早期流産は変えられない運命

今回、みなさんにはっきりとお伝えしたいことがあります。妊娠12週未満の「早期流産」はどんな治療をもってしても食い止めることができない、ということです。

流産(22週未満)は、全妊娠の15%という確率で起こります。妊娠した女性の7人に1人は流産してしまう計算です。

このうちの大部分が妊娠12週未満の「早期流産」で、原因のほとんどは胎児側にあります。染色体に異常があるなど、元気に生まれて育つことがむずかしい受精卵が、自然淘汰されたということです。

これは受精卵が細胞分裂していくときに一定の確率で起こる「エラー」。受精した段階で、すでに運命づけられていたものです。

現代のように妊娠検査薬や超音波検査が確立していなかった時代には、妊娠中期頃まで妊娠に気がつかない、診断されないことがほとんどでした。流産をしても「生理が遅れたけど、ようやく来た」で済ませていたことが多かったはずです。

医療の発達によって、現代では母体や胎児のさまざまなトラブルを回避できるようになった一方で、昔は気づかれなかった「早期流産」がわかるようになり、悲しい経験をする方が増えました。

本当は、「12週までは、確実に妊娠したかどうかの結果待ちの期間」と考えたほうがいいのです。妊娠した芸能人は、どんなに早くても妊娠12週を過ぎるまでは発表を控えます。これは妊娠が確定するのを待っているためなんです。

ただし、流産を2回、3回と繰り返す「不育症(習慣流産)」で、抗リン脂質抗体症候群や凝固因子異常など母体側に流産の原因がある場合は、妊娠12週未満でも治療の手立てがあります。今回は、こうした不育症など特殊なケースは除いて、お話をします。

(2011年12月から掲載)