「安全な薬」とは?

〈妊娠と薬の外来〉では、これまで1万人以上の相談を受けてきました。

その中で「薬のせいで赤ちゃんに異常が出る可能性が高い(10%以上)」とお話したのは、わずか数人です。つまり99.9%問題ありませんでした。

特別な持病もなく、日本でふつうに生活している人で、妊娠していると知らずに飲んだり、使ったりした薬で、現実的に問題となるものは、ほとんどありません。

妊娠中にうっかり飲んだことで赤ちゃんに異常の出る可能性のある薬は、きわめて少ないと思ってください。

でも、ここで「安全な薬」とか「危ない薬」というときの、意味を知って欲しいのです

「安全な薬」だから、100%障害のない赤ちゃんが生まれる、という意味ではありませんし、「危ない薬」「問題のある薬」だから、必ず赤ちゃんに障害が起きるという意味でもないのです。

赤ちゃんが100人いたら、そのうち3人は、なんらかの異常を持って生まれてきます。統計上、3%は出産するときにだれもが負っているリスクなのです。

「安全な薬」ということは、つまりこの3%のリスク以上にはならないということ。そして「危ない薬」というのは、3%よりもリスクが高くなるという意味なのです。

(2007年9月から掲載、2014年11月改訂)