胎児精密超音波検査/出生前診断・解説辞典

通常の妊婦健診とは別に、時間をかけて行われる超音波検査。「胎児スクリーニング」、「特殊超音波検査」、「胎児ドック」とも呼ばれる。

時期

検査時期

11~37週頃に1回~4回(病院により異なる)

検査結果

即日。または次回受診時にカウンセリングを兼ねて説明。

検査方法

お腹にプローブを当てて、画面に映し出される超音波画像を見て診断する。所用時間は30分~1時間程度。また、3D(立体的な画像)、4D(立体的な動画)が使われることもある。

概要

胎児の命にかかわる大きな異常を見つけることで、産後の治療・サポート体制を整え、心の準備をすることが目的。一部のクリニック・病院で「日本超音波医学会超音波専門医・検査技師」や「周産期専門医」など、技術を取得した専門家が行っている。

検査内容は医師や病院によって異なるが、代表的には下記の通り。

妊娠中期

早産予知のための診断や胎児の各パーツ(心臓、頭部、胸部、脊椎)、胎盤・臍帯の診断。

妊娠後期

胎児の形態評価(顔面・脳・心臓等)や発育、血流、胎児の行動、羊水量、胎盤・臍帯等の診断。

検査によって見つかる代表的な疾患

・脳の疾患(無脳症、脳室拡大、水頭症など)
・脊髄の疾患(脊髄髄膜瘤、二分脊椎など)
・心臓の疾患(心臓奇形、血流の問題など)
・胸部の疾患(先天性横隔膜ヘルニア、肺嚢胞性腺腫様奇形CCAM、胸水症など)
・腹部の疾患(腹膜破裂、臍帯ヘルニア、胎便性腹膜炎、十二指腸・空腸閉鎖など)
・泌尿・生殖器異常(水腎症など)
・外表奇形(口唇裂など)
・染色体異常の可能性(ダウン症、18トリソミー、13トリソミー等。確定診断のためには羊水検査が必要)

費用

1回2~3万円

注意点

産科超音波専門医や超音波検査士が行うと、超音波検査で見つけ出すことが可能な胎児異常のうちの、約半数が発見できると言われている。すべての障害がわかるわけではないことに注意。

大きな奇形や重篤な疾患を見つけることを目的としているので、たとえば、多指症や合指症、尿道下裂など小さな奇形・疾患はわからないことが多い。

ダウン症、脳性麻痺、鎖肛、口蓋裂、視力・聴覚の問題などは超音波検査だけで診断することはできない。

この検査は基本的に保険医療の対象外で、自費診療。自治体から配布される妊婦健診補助券(チケット)の対象外。

胎児の向きや位置によっては検査できない項目がある。

(2012年11月から掲載)