NT計測等/出生前診断・解説辞典
胎児の首の後ろにみえる透明な部分(NT:nuchaltranslucency・頭頸部透瞭像)の厚さを測り、ダウン症など染色体異常のリスクを拾い上げる。
時期
検査時期
妊娠11週~13週頃
検査結果
即日
検査対象となる疾患
ダウン症(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミー、ターナー症候群など
検査方法
経膣超音波で、胎児の上体を大きく映し出し、NT(後頸部透瞭像)の厚さを測る。
概要
妊娠初期のこのような後頸部の所見は多くの正常の胎児にあるものだが、通常よりも厚い場合は、染色体異常や心臓奇形、その他の病気の確率が統計的にやや高くなる。鼻骨の有無や胎児の血流なども合わせて確認すると、診断の精度はより高くなる。
欧米のデータでは、NTが3mmだと約3~4%に、6mmだと約70%に染色体異常が見つかる。これは、NTが6mmで障害の確率が高いとされた胎児100人のうち30人は、実際には障害が無かったということ。
健康な胎児でもNTが厚い場合もあるし、染色体異常があるのにNTが厚くならないこともあるので、NTの計測だけでは検査の精度は決して高くない。あくまでリスクを推定し、可能性を絞り込み、羊水検査に進むかどうかを考えるための判断材料の一つ。
費用
約1万円(通常の妊婦健診費に含まれている場合もある)
注意点
アメリカやヨーロッパでは一般的に行われている検査だが、日本ではまだ一般的な検査ではない。
わずか数ミリの差を測定する非常にデリケートな検査で、正確に測るためには超音波検査の高度な技術が必要とされている。国内でじゅうぶんな技術をもつ医師はまだ少ない。
事前の説明や了承もなく、通常の妊婦健診でNTの測定結果を告げられて、混乱を招くケースが増えている。事前に妊婦本人の希望を聞き、承諾をとることが求められている。
(2012年11月から掲載)