絨毛検査(CVS)/出生前診断・解説辞典

胎盤の元となる「絨毛」を子宮から採取し、胎児の染色体異常や遺伝性疾患を診断する。羊水検査より早い時期に受けられる。

時期

検査時期

妊娠10~14週頃

検査結果

10日~2週間後

対象となる疾患

ダウン症や18トリソミー、13トリソミーなどの染色体の数の異常。ターナー症候群やクラインフェルター症候群など、性染色体の異常。また、親や親族に遺伝性疾患がある場合、DNA検査で胎児を診断できる。

検査方法

お腹から針を刺す方法が基本だが、絨毛の位置によっては腟から針や専用の鉗子で組織を採取する方法が選択される場合もある。絨毛の採取が困難な場合もある。

エコーで胎児や胎盤の位置を調べて、針を刺す位置を決め、入念に消毒する。超音波画像を確認しながら子宮内に針を刺して、絨毛を採取する。意識のある状態で行われ、筋肉注射程度の痛みなので局所麻酔はかけない場合も。所要時間は10分程度。

採取した絨毛は検査機関に送られる。検査後、30分ほど院内で安静に待機し帰宅。

概要

胎児の染色体異常や遺伝性疾患の確定診断ができる検査。羊水検査(15~19週)よりも早い時期に受けられ、羊水検査よりも多くの胎児成分を採取できるので、特殊な遺伝性疾患を調べることも可能。また子宮壁近くの部位から採取するので、誤って胎児を針で傷つける心配は少ない。

出血や破水、流産などの合併症リスクは羊水検査とほぼ同じで、0.3~0.1%程度。

特殊な手技や遺伝性疾患の知識が必要なので、一部の病院・クリニックだけで行われている。

検査の対象は以下の通り

35歳以上の高齢出産、親や上の子に染色体異常がある、親がX連鎖遺伝病や先天代謝異常症を保因、超音波検査や母体血マーカーテストで異常が疑われている、その他、重篤な胎児異常の可能性がある。

費用

8~20万(検査の内容によって異なる)

通常行われているのは「G-band法」といって、1~22番染色体とX・Y染色体の、数の異常と構造異常を調べる羊水検査。結果が出るまでに約2週間かかり、費用は8~10万円前後。

「FISH法(蛍光in situハイブリダイゼーション法)」は、13・18・21番染色体とX・Y染色体の数の異常だけを調べるもので、2~3日で結果がわかる。これはG-band法とセットで行われるもので、二つ合わせると20万前後。

注意点

検査によって破水、感染、流産などのリスクがわずかにあるので(確率0.3~0.1%)、検査を受けるかどうかは慎重に判断する。

この検査をする場合、専門的な知識をもつ臨床遺伝専門医や遺伝カウンセラーによる「遺伝カウンセリング」を行うことが求められている。検査のリスクや、検査でわかることとわからないこと、疾患がわかった場合の選択肢などを説明し、夫婦の相談にのる。

結果によっては、親の染色体検査やDNA検査が必要になることもあるので、遺伝外来のある病院で受けることが勧められている。

(2012年11月から掲載)