不規則抗体検査:妊婦健診の検査
検査の目的
人は生まれつき、自分の血液型と違う血液型に対する抗体(免疫)を持っています。これを「規則抗体」と呼びます。ABO型分類であれば、A型の人は「抗B抗体」、B型の人は「抗A抗体」、O型の人は「抗A」「抗B」の両方をもち、AB型の人は抗体を持ちません。けれども、何らかのきっかけで他の人の血液が体内に入ると、体がその血液に反応して新たな抗体を作ることがあります。これを「不規則抗体」と言います。
「不規則抗体」を持っていると、同じ血液型を輸血したにもかかわらず、規則にのっとっていない抗体(不規則抗体)があるせいで副作用が起き、最悪の場合はショックを起こす危険性も出てきます。このため、副作用を起こさない血液を事前に準備しなくてはなりません。また、血液中に不規則抗体があるとないとでは、緊急時の輸血のダンドリなど対応も変わってきます。
また、ママが持っている「不規則抗体」が胎盤を通って赤ちゃんの赤血球と結合し、破壊することもあります。その結果、お腹の赤ちゃんが重い貧血などのトラブルを引き起こしやすくなるため(血液型不適合)、定期的にママの抗体の数値をチェックし、それを抑える治療や、お腹の赤ちゃんの貧血の有無を脳の血流速度で調べるなど、早い時期からママと赤ちゃんを管理していくことが必要になります。
「不規則抗体」は異なる血液型が体内に入ってできるものなので、過去の輸血が原因で抗体ができた可能性があります。また、初めての妊娠が子宮外妊娠、流産、早産などで、胎児の血液がママに入ってできることもあります。
検査する時期
妊娠初期(妊娠4~12週)、必要に応じて妊娠中期・後期
検査の方法
血液検査(間接クームス試験)
検査の結果
陰性(-)または陽性(+)。陽性と出た場合、精密検査をする。
(2012年9月から掲載)