血算(血球算定):妊婦健診の検査
検査の目的
貧血、感染の有無、出血の傾向を知るための検査です。妊娠中は出産時の出血に備えたり、お腹の赤ちゃんを育てるために、体を循環する血液量が多くなります。血液は血球と呼ばれる固体成分と、血漿(けっしょう)と呼ばれる液体成分でできているのですが、血液量が増えても固体成分の血球は簡単には増やせません。このため血液の濃度は薄くなり、貧血が起きやすくなります。
赤血球が少なく、全身に新鮮な酸素を運搬するヘモグロビンの濃度が基準値よりも低い状態は、貧血です。動機や息切れ、疲れやすいなどの症状が見られるのですが、ひどい場合は赤ちゃんの成長に影響が出たり、分娩時の出血が多くなることもあります。治療はヘモグロビンの材料となる鉄を多く含む食品を食べるなどの食事療法が中心で、必要なら鉄剤(飲み薬)が処方されます。
逆に、ヘモグロビン濃度が高すぎるときは、ほかに慢性疾患などが隠れていないか、注意して診ていきます。
感染や炎症が起きていないかは、白血球の数を調べることで分かります。白血球の主な働きは細菌やウイルスなどの異物から体を守ることですが、その数値が基準値外の場合は、さらに詳しい検査を受けることに。まれに細菌感染症や白血病などの場合があり、その場合は薬などによる治療が行なわれます。また、血小板の数が少ないと出血しやすく、血が止まりにくくなります。お産は、量の多少はあっても必ず出血するものなので、病的な場合は、血小板の数を増やす治療が行われます。
検査する時期
妊娠初期(妊娠4~12週)・後期(妊娠30週頃/37週頃)
検査の方法
血液検査
検査の内容
白血球数、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、MCV、MCH、MCHC、血小板数の測定
検査の結果
それぞれ基準の範囲内にあるかどうかを調べます。ただし、基準値は病院(検査機関)によって多少違うことも。測定条件や個人差もあるため、基準値から外れていても、主治医からとくに何も言われなければ心配はありません。
(2012年9月から掲載)