HIV検査:妊婦健診の検査
検査の目的
HIVは、私たちの体を外敵から守る免疫細胞のひとつである「T細胞」を破壊してしまう怖いウイルスで、免疫機能が低下するエイズ(後天性免疫不全症候群)の原因になります。ウイルスは血液や精液、膣分泌液などに多く含まれており、感染経路のほとんどは性行為です。
HIVに感染していながらエイズを発症していない人(キャリア)の場合、はっきりした症状が出ないので、自身が感染を知らないまま妊娠するケースも。このため、妊娠初期に検査を受けて感染を早期発見できれば、妊婦自身が早く治療を受けられ、赤ちゃんへの感染を防ぐこともできます。
検査をせず、感染に気づかない場合の母子感染率は約30%ですが、妊娠初期に早期発見され、抗HIV薬を内服するなどの治療をすれば、赤ちゃんへの感染率は0.5%、つまり60分の1にまで減少します。お産は、感染防止のために分娩予定前の予定帝王切開が勧められています。産後は母乳で感染する心配があるので、人工栄養で育てます。誕生後の赤ちゃんも、生後6週間まではママと同じ抗HIV薬を飲み、発症を防ぎます。
検査する時期
妊娠初期(妊娠4~12週)
検査の方法
血液検査
検査の内容
「HIV抗体」の有無を調べる。
検査の結果
陰性、または陽性。陽性の場合は、ウエスタンプロット法(HIV抗体価精密測定)やPCR法(HIV核酸増幅精密検査)による確認検査を行なう。検査で陽性が確認された場合、各自治体(都道府県)で、HIV陽性妊婦の扱い医療機関が決められている。
(2012年9月から掲載)