梅毒検査:妊婦健診の検査
検査の目的
梅毒は性行為でうつる病気です。妊娠中は、高い確率でお腹の赤ちゃんに感染します。早く治療を始めないと流産や早産が起こったり、赤ちゃんが胎内で亡くなったり、先天梅毒として生まれてくることがあるので、妊娠初期に検査をします。
梅毒は、トレポネーマ・パリドムという病原菌の感染による性感染症。皮膚や粘膜の小さな傷から病原菌が体内に入り込み、感染します。初めは感染した部分だけに発疹やしこりなどの症状が出ますが、菌はやがて血液の中に入って全身を巡り、体のあちこちに発疹が出たり、微熱、倦怠感、関節痛やリンパ節の腫れなどの症状が現れます。時間とともに症状も変化してゆくため、自分が梅毒だということに気づかない場合も多いのです。
検査で陽性だった場合は、梅毒に効き目の高いペニシリン(抗生物質)を服用し、治療します。病原菌はママの胎盤を通してお腹の赤ちゃんにも移行するため、胎盤が完成する妊娠4カ月頃までにきちんと治療を受ければ、感染の心配はほとんどありません。胎盤が完成した後は、胎内感染が起こることを前提に、ママがペニシリンを服用します。ママが飲んだ薬は血液と胎盤を介してお腹の赤ちゃんにも届くため、赤ちゃんの治療にもなります。
先天梅毒で生まれた赤ちゃんは、出生直後ははっきりした症状が出ないことが多いのですが、乳幼児期に症状が出てきます。典型的な症状には、肝脾腫(かんぴしゅ/肝臓・脾臓が大きく腫れてお腹がふくらむ)、紫斑、黄疸などがあります。
検査する時期
妊娠初期(4~12週)、病院によっては妊娠後期に再度行なうことも。
検査の方法
血液検査
検査の内容
STS(カルジオリピンを抗原に使う検査)とTPHA(梅毒の病原体=トレポネーマ・パリドムを抗原に使う検査)
検査の結果
陰性(-)、または陽性(+)。陽性の場合、精密検査、治療を行う。
(2012年9月から掲載)