副反応の補償制度ってどんなもの?
予防接種後に重大な症状や病気が見られた場合、ワクチンが原因である場合と、無関係な場合があります。
たとえば、2011年に、ヒブや肺炎球菌などの接種後に亡くなった子どもが報告されました。しかしよく調べた結果、ワクチンとの因果関係は認められませんでした。重い基礎疾患があり、その影響が考えられたケースもあります。また、日本では1日に3人が「乳幼児突然死症候群」で亡くなっているので、たまたまワクチン接種後に乳幼児突然死症候群を発症し、まるでワクチンが原因のように見えてしまうケースもあります。
しかし、医学的にワクチンと健康被害にはっきりとした因果関係が認められなくても、ワクチンによって起こった可能性が否定できなければ、補償される制度があります。
定期接種と任意接種では、相談先から補償制度まで異なります。定期接種は「予防接種健康被害救済制度」、任意接種の場合は「医薬品副作用被害救済制度」「生物由来製品感染等被害救済制度」です。
まず、異変に気付いたら、接種した医療機関へ。その後、定期接種の場合は市区町村予防接種担当課へ、任意接種の場合は医薬品医療機器総合機構に問い合わせることになっています。
死亡保障の額を比べてみましょう。万が一、定期接種によって子どもが死亡した場合は4,280万円。任意接種の場合は、713万円ほどが支払われることになっています。
このように、任意接種は定期接種の約6分の1しか支払われません。定期接種は「病気のまん延を予防すること」が目的であると予防接種法で定められています。そのため「自分自身のためのみならず、他人のために接種した予防接種によって健康被害を受けたのだから、より高額で補償する」という考え方なのです。
しかし実際は、任意接種も「他人のために受ける」という社会的な意味が十分にあるため、この制度は改善が必要だと議論されています。
(2012年5月から掲載)