「同時接種」の安全性は?
複数のワクチンを1度に打つことを、「同時接種」といいます。同時接種のメリットは、必要な免疫が早くつき、通院回数が減ってスケジュールが組みやすくなることです。世界では同時接種が当たり前になっている国も多いですが、日本国内では2011年に日本小児科学会が「同時接種は必要な医療行為」と推奨の立場を表明し、急速に広まりつつあります。
日本の赤ちゃんが1歳前に接種する主な予防接種は、定期と任意を合わせると7種類にのぼります。複数回の接種が必要なワクチンもあるため、接種回数を計算すると、なんと17回以上になります。接種後は、生ワクチンは中27日以上、不活化ワクチン(トキソイドを含む)は中6日以上、間を開けるよう決められています。そのため、複数の予防接種を同時接種し、効率よくスケジュールを組む必要があるのです。
特に0歳児が対象の「四種混合」や「ヒブ」「小児肺炎球菌」「ロタウイルス」は、3~4回接種しないと免疫ができません。ワクチンを1種類ずつ接種していては、免疫ができあがるまでに長い時間がかかってしまいます。その間に、感染症にかかっては意味がありませんし、何度も予防接種に通うのは親子にとって大変な負担でしょう。そんな不便も同時接種で解決できます。
同時接種は世界中で行われていますが、ワクチンの効果が減ったり、重い副反応が出やすくなるという報告はありません。たとえば、アメリカでは生後2ヵ月の赤ちゃんが6種類のワクチンを同じ日に受け、生後4ヵ月には5種類を受けるというワクチン先進国ですが、問題は報告されていません。
また、同時接種の組み合わせで悪いものや、本数の制限も、ありません。たとえば生ワクチンと不活化ワクチンを一緒に、また定期接種のものと任意接種のものを同時接種しても大丈夫です。(ただし、市区町村の制度によっては、定期と任意を同時に打つことができない場合もあります。)
(2012年5月から掲載)